一緒に走りませんか

毎朝、皆さんは何をされていますか。なかには毎日走ることを習慣にしている方もおられることでしょう。健康や体力維持のためにランニングやジョギング、またマラソンをする方もおられます。走る人の姿というのはとても格好良く、見ていて感動を覚えます。「マラソンを完走すると景色が変わって見える」ということをよく聞きます。私もそのような素晴らしい体験ができればいいと思いますが、いざ自分も真似をして走ろうとすると、すぐに息が切れてしまいます。走ることは楽しいことですが、同時に、辛いこと、苦しいことでもありますね。

私たちの人生も走ることとよく似ているところがあるなあと思わされます。今の自分は格好良いなあと思うこともあるでしょう。一方で、生きるのが苦しいと思うこともあります。本当はギブアップしたいけれども、周りを気にして無理をしてしまいます。そもそも、どうしてこんなにも頑張って生きていかなければいけないのかと思うこともあるでしょう。

また、長距離走などは特にそうかもしれませんが、走っている途中、色んなことを考えます。今の自分の体力や順位。また、ゴールまでどのような作戦で行こうかなど、色々と考えるわけです。私たちが生きることにおいても、様々なことを考え、それを実行に移します。考えるというのは、悩むということでもあるでしょう。ここから先に行くために、より前に行くためにはどうしたらいいのかを考え、思い悩むのです。でもそこで、向かうべきゴールがどこなのかを見失ってしまうということもあるのではないでしょうか。

ところで、聖書もまた生きることを、走ることに譬えて語ります。より丁寧に申しますと、神様を信じて生きる人生はマラソンのレースのようだと言うのです。神様を信じて生きる人の生き方は実に見事で、周りの人たちの心を打つ。そのように言うことができるのです。

でも、このように思う方もおられるかもしれません。やっぱり私は走るのが苦手だ。神様のもとでゆっくり憩いたいのに、「走り抜こうではないか」などと言われたら、正直どうしたらいいのか分からなくなってしまうというふうに。しかも、「自分に定められている競走を忍耐強く走り抜こう」というのです。「競走」という言葉を聞くだけで耳を塞ぎたくなる人もあるでしょう。自分の順位を気にしながら生きる。これほど疲れる生き方はありません。神様を信じているのにまだ、競走なんかしないといけないのか。神様は分け隔てなく私たちを受け入れてくださるお方ではないのか。それなのにどうして…。

もちろん神様は私たちが１位にならないとダメだとか、１位から３位までに入らないと良いものをあげないとか、救ってあげないなどとおっしゃっているのではありません。信仰のレースで勝利するというのは、１位になることではなくて、最後まで走り抜くこと。ゴールすることです。そして、大事なのは一人で走るのではなくて、神様を信じている仲間たちと一緒に走って、救いの完成というゴールを切るのです。

もう自分は走ることができない。もうダメだ、ここでずっと休んでいたい。そのような人たちに対して、神様は「さあ、わたしと一緒に走ろう！」と言って、励ますのです。普通しんどいと思っている人に、「一緒に走ろう」などとは言いません。そのようなことをしたら、余計に、その人を疲れさせてしまうだけです。でも、神様だけは「さあ、一緒に走ろう」という言葉をかけることがおできになるのです。「すべての重荷や絡みつく罪をかなぐり捨てて、自分に定められている競走を忍耐強く走り抜こうではないか！」本当に不思議な言葉です。でもどこか魅力ある言葉です。

なぜそのように言うことができるのでしょうか。それはイエス・キリストが、生きる上で背負わなければいけないあらゆる重荷、何よりも私たちに絡みつく罪という重荷を取り除いてくださるお方だからです。聖書が語る「罪」というのは、一つの言い方をすると、私たち人間が本来見るべき大切なものを見ないで、別のものを見て、それを追いかけて生きようとすることです。私たちが本来見るべきもの、見なければいけないもの、それは神様です。そして、神様が与えてくださったイエス・キリストを見つめて走ることです。

キリストから目を反らしてしまった私たちです。でもそのような者たちを救うためにキリストは十字架につき、罪から救ってくださいました。もうダメだと思っていた者たちが、キリストによって立ち上がり、キリストと共に栄光のゴール、救いの完成に向かって走っています。教会はそのような人たちの集まりです。ぜひ教会の礼拝にお越しください。色んな人たちがキリストと共に走っています。この世の様々な重荷を担いつつも、疲れ果てるどころか、喜んで生きている人たちがここにいます。すべてをキリストにお委ねし、安心して、力強く生きる道がここにあります。