チェックリストもいいけれど

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聖書の言葉

主よ、今こそあなたは、お言葉どおり/この僕を安らかに去らせてくださいます。 わたしはこの目であなたの救いを見たからです。

新約聖書 ルカによる福音書 2章29節-30節

藤井真によるメッセージ

新しい一週間が始まると、私は引き出しの中から小さなメモを取り出します。そして、その週の内にしなければいけないことを一気に書き出して、いつも目に見える場所に貼り付けるのです。そうしないと、やることをすぐに忘れてしまうからです。また、手元にあるスマートフォンには、「チェックリスト」という便利な機能があります。そのリストを先程、見ましたら何と504ものリストがありました。しなければいけないリストだけではありません。他にも買いたいもののリストがあります。あるショッピンサイトにあるほしいものリストを見ましたら、154個の商品がそこにありました。また、私は食べ歩くことが好きですから、行きたいお店のリストもたくさんあります。あるグルメサイトにある保存リストを久しぶりに見ましたら、何と615件ものお店を保存していたのです。さすがに自分でも驚きました。全国各地に美味しい料理を出してくれるお店がたくさんあります。でも615件ものお店をどうやって回ることができるのでしょう。そんな時間もお金もありません。あそこにも行きたい、ここにも行きたいと思いながら、結局は近くにあるラーメン屋さんばかりに行っているのです。まあ、美味しいからそれでいいのですけれども…。数え切れないほどのチェックリストの項目に、少しずつチェックを入れて、消していくのですが、日ごとに数が減るどころか増えていっているような気がします。このままだと一生全部消えることがないのではないかと思って少し悲しくなってくるのです。

ある映画にこういうものがありました。余命を宣告された主人公が、死ぬまでにやりたいことをまとめたリストを作りまして、一つ一つかなえていくのです。私たちもやがて死ぬ身ですけれども、後悔を残したまま死ぬのは誰だって嫌だと思います。「やり残す」のではなく、「やり切った」と言える人生を送ることができるかどうか。ここに私たちの人生がかかっているのではないか。そう信じている人はきっと多いことでありましょう。でも一方でこう思うことがあります。自分は本当にやりたいことを全部やり切ることができるのだろうか。おそらく難しいのではないかと私は思います。では、やり残したものが少しでもあれば、私たちの人生は不幸な人生ということになってしまうのでしょうか。結局、あれもこれもできなかったと言って、後悔して、絶望して人生を終えなければいけないのでしょうか。聖書は語るのです。いや、決して、そんなことはないのだと。

クリスマス物語の最後のほうにシメオンという老人が登場します。シメオンのチェックリストにはたくさんのことが記されているわけではありませんでした。神の民であるイスラエルが慰められること。そのために、救い主がこの世界に来てくださること。そして、その救い主とお会いすること。それで十分だったのです。だから、毎日のように、お祈りをささげながら、救い主が来ることをひたすら待ち続けました。クリスマスの出来事から40日経った時、シメオンは、ついに、神殿で救い主イエス・キリストとお会いします。シメオンはそこで喜びつつ歌うのです。「これで私の人生は満たされました。もう安心して死ぬことができます。なぜなら、イエス・キリストの救いを見ることができたからです。」シメオンのように、イエス・キリストとお会いするというこの一点において、あなたの人生は満たされるのだ。聖書はそう語ります。やりたいこと、やらなければいけないことがたくさんあることでしょう。そのために、一所懸命努力することも大切なことかもしれません。なかには、ついに、自分の力によって、すべてを手に入れることができた。もう満足だという人もいることでしょう。でも、私たちの人生、本当はどこで満たされるのか。それは、私たちをお造りになり、私たちにいのちを与えてくださった神様との関係が、キリストの平和によって満たされることによってです。このことの中にこそ、私たちの幸いがあるのです。

17世紀に生きたオランダの画家にレンブラントという人がいます。この人がシメオンの物語を一枚の絵にしました。老人シメオンが幼子イエス様を抱っこしています。でも、シメオンは目をつぶったまま。もしかしたら目が見えていないのかもしれません。しかし、一方で、幼子イエス様の目はぱっちりと開いています。イエス様が老人シメオンを、死を前にしたシメオンをしっかりと見つめています。しっかりと捕らえているのです。レンブラントは、私たちが何を見、何を手にするかということではなく、救い主イエス・キリストの愛のまなざしによって見つめられ、このイエス様の愛によって捕らえられる人生にこそ、私たちの幸いがあるのだ。このことを伝えたかったのかもしれません。

毎日、チェックリストを眺めながら心騒ぐ私たちです。でも、そんなあなたを今日もイエス・キリストはまっすぐ見つめていてくださいます。ぜひ、救い主イエス・キリストをあなたの人生の中に迎え入れてみてください。色んな後悔や失敗ばかりの人生かもしれませんし、やがては死ぬ限りある地上の人生です。でも、神様はそのようなあなたのことを心から受け入れてくださり、まことの愛といのちによって満たしてくださるのです。今日もラジオをお聞きの皆様の上に神様の祝福が豊かにありますように。

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