思慮、慎み、祈りと愛

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聖書の言葉

万物の終わりが迫っています。だから、思慮深くふるまい、身を慎んで、よく祈りなさい。何よりもまず、心を込めて愛し合いなさい。愛は多くの罪を覆うからです。不平を言わずにもてなし合いなさい。あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。

新約聖書 ペトロの手紙一 4章7~10節

袴田清子によるメッセージ

近年は様々な出来事があり、終末の時代ではないかと感じておられる方も多いかも知れません。聖書は、現在の世界と秩序を超えた、神の世界と秩序が、神の御子イエス・キリストによってもたらされ、完成されることを記しています。

今朝はその聖書の中のペトロの手紙第一から、終末の時代を生きる時、どのような心構えで毎日を過ごしたらよいかを教えている箇所を、皆様と共に学びたいと思います。

この手紙が記された頃、原始教会において、万物の終わりが近づいているという確信が広がっていました。そのような中で、仕事もせずに、地に足が付かず、日常の生活に混乱をきたしていた人々もいたようです。しかし、イエス・キリストの使徒であったペトロは、思慮深くふるまい、身を慎んで、よく祈るように勧めています。祈りこそが、終わりの時に備える最善の対応として書かれています。神様との対話の関係こそが、終わりの時に対して、私たちの目を覚まさせるのです。

「思慮深く」とは、心を確かにして、心を整え、落ち着いて、分別を保ち、自己自制していること、そして、正しい感覚を保っていることを意味します。どのような事態に直面しても、うろたえずに、また快楽にふけるのでもなく、心と生活の平静と健全性を保つことを聖書は教えています。テサロニケの信徒への手紙Ⅱ2章2節においても、「すぐに動揺して分別を無くしたり、慌てふためいたりしない」ように勧めているとおりです。

そして、「身を慎しむ」ことです。これは自己制御することを意味しています。これは、私たちが神様への祈りに向かうために必要なことです。

そして、よく「祈る」ことが終わりの時への備えの頂点とされています。「祈る」ということは、聖書を読んで神様からの語り掛けを聞いて、その神様との対話によって、神様との交わりを持つことです。

祈るなかで、御言葉と聖霊が、神様の御心に、私たちの心を合わせてくださいます。神様が、私たちの心を導いてくださることを経験するのです。祈りという神様との交わりにおいて、私たちは心配事や必要、あらゆる重荷を神様の御前に委ねることを学びます。神様に心を注ぎだして、助けを求める中で、祈りが聞きあげられていることに気づきます。そして、祈りの時間が恵みの時となり、聖霊なる神様によって心が平安にされます。神様の持っておられる善の心、神様の愛が、不思議と私達の心を満たしていくのです。

そして、「何よりもまず、心を込めて愛し合いなさい。愛は多くの罪を覆うからです」と記されています。何よりも、「愛」が優先するように、心を込めて相手のことを思い、愛することが大切だと聖書は教えています。なぜなら、愛は多くの罪を覆うからです。

今、世界の多くの場所では、愛や赦しという言葉が通じないような悲惨な争いと殺戮があります。それらは、深い憎しみを引き起こしています。悪魔的な力が吠えたけっているようです。

しかし、だからこそ、聖書は愛を求めます。熱心で、一生懸命な、全力での愛。永続的な、一貫した、意志的強靭さを持つ愛。そのような愛で互いに愛し合うように、この箇所は教えています。そして、愛は多くの罪を覆うからですと教えているのです。

そして、主イエス・キリストを信じる者は互いの間で、不平を言わずにもてなし合うように勧めています。これは教会の兄弟姉妹同志で、もてなし合うのは、もちろんのこと、旅の途中の見知らぬ兄弟姉妹をも、親切にもてなしなさいという意味です。

近年コロナ禍の影響で、教会の愛餐会が難しくなり、一緒に食事をすることが無くなりました。しかし、聖書は、キリストにある兄弟姉妹が、もてなし合うことを最初から勧めていて、愛の現れとして、食事を共にすることを勧めています。聖書は、万物の終わりが迫っている時に、何よりも、心を込めて愛し合うこと、兄弟姉妹がもてなし合うことを勧めているのです。私たちは、教会の中での互いの間の愛が、さめてしまわないように、努力する必要があるのです。

そして、聖書は次のようにも記します。あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。

キリストにある兄弟姉妹は、賜物を生かして、互いに仕えるようにと、聖書は教えているのです。

万物の終わりが迫っている中でも、思慮深くふるまい、身を慎んで、よく祈ること。そして、心を込めて愛し合うこと。もてなし合うこと。そして、自分の与えられている賜物を生かして仕えること。これが聖書における、終わりの時代の私たちの過ごし方です。

最後にお祈りをささげます。

生きておられる神様、今年の歩みをここまで支え、恵んでくださったことを感謝致します。どうか、私たちの罪に基づく様々な争いと憎しみを止めて下さり、あなたの御心に従った愛に基づく歩みをすることができるように、助け導いて下さい。新しい一年も、神様の愛に支えられ、主イエス・キリストによる赦しと、聖霊なる神様の助けの内に、歩むことができますように、お導きください。救い主、主イエス・キリストの御名前を通して願い祈ります。アーメン。

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