正義と平和は口づけし

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聖書の言葉

慈しみとまことは出会い、正義と平和は口づけし、まことは地から萌えいで、正義は天から注がれます。

旧約聖書 詩編 85編11,12節

禰津省一によるメッセージ

一年のうちで最も寒い季節を迎えています。皆さま、お変わりなくお過ごしでしょうか。今朝は、詩編85編のみ言葉に耳を傾けてみたいと思います。先週、ご一緒に聴きました84編と今朝の85編、この二つの詩編には、それぞれ印象的で心惹かれるみ言葉があります。詩編84編には、「あなたの庭で過ごす一日は千日にもまさる恵みです」という御言葉がありました。そして今朝開いています詩編85編には、このような御言葉があります。

「慈しみとまことは出会い、正義と平和は口づけする」。これもまた印象的で美しいみ言葉です。今朝は詩編85編の御言葉全体に心を向けてみましょう。

この放送をお聞きなっている方の中にはすでに信仰を持っている方だけではなく、そうではない方も多くおられることでしょう。ご家庭のリビングで、あるいは走っている車の中で、たまたまこの放送が聞こえて来たという方もおられると思います。どうぞそのままお聞きになってください。

さて、教会に通っておられる方の多くの人たちは、主イエス様を信じる信仰にそれぞれが導かれましたときに、何らかの個人的な恵みの物語を体験されておられます。ある人は、初めて教会の礼拝に出席した時、なんとも言えない不思議な平安をいただいたと言います。またある方は、もうこれは本当に駄目だと思うような人生の危機のときに、不思議な仕方で助けを得て、神様の導きを信じたとおっしゃいます。

今朝与えられている詩編85編において旧約聖書のイスラエルの民が体験したのは、バビロンからの帰還の体験でありました。彼らは大国によって侵略され、国が滅ぼされ、遠く異国の地に連れ去られてしまいました。しかし神様の恵みによって彼らは捕らわれの地の苦難の生活から解放されたのです。人々は、神の罰を受けていると思っていましたが、神がその罪を赦してくださったという体験をしたのです。

しかし、喜びの時は永遠ではありませんでした。そのような神様の赦しの中で生きる間にも、イスラエルの民には悩ましいことや苦しいことが次々と襲って来たのです。5節では、民はこう叫んでいます。「わたしたちの救いの神よ。わたしたちのもとにお帰り下さい」。

導かれて歩み始めたキリスト者の信仰の生活にも思いがけないことが起こります。病になったり、家族や仕事上の悩みにぶつかったりということもあります。戦争や動乱など政治的、社会的な問題に翻弄されることもあると思います。信仰があってもなくてもそれは同じであります。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大、パンデミックは、わたしたちの生活を大きく変えてしまいました。人々が集うことに大きな価値を置いて来たキリスト教会もまた困難な道を歩まされています。

また世界を見渡すなら、大国の横暴な振舞によって正義は踏みにじられているかのように思えます。食料やエネルギーの問題が起こり、国々は苦しめられています。そのような中で信仰者を支えるのは、かつての自分たちの恵みの体験なのではありません。そうではなく、どんな時も変わることのない神、生きておられる神への信頼が人々を支えます。10節で詩人は歌っています。

「主を畏れる人に救いは近く、栄光はわたしたちの地にとどまるでしょう」。神ご自身がわたしたちと世界とを守ってくださるのです。神の慈しみ、神のまことへの希望こそが私たちの歩みを支えます。神は平和の神であられ、神に不正や不義はないからです。

11節から13節のみ言葉をご一緒に聴きましょう。「慈しみとまことは出会い、正義と平和は口づけし、まことは地から萌え出で、正義は天から注がれます。主は必ず良いものをお与えになり、わたしたちの地に実りをもたらします」。

暗い夜が明けるように、戦争はやがて終わり、パンデミックも必ず収束します。わたしたちを取りまく様々な個人的な不安や悩みもまた神の御手のうちにあることです。それゆえに必ず道は開かれることでしょう。もう一度御言葉をお聞きしましょう。「慈しみとまことは出会い、正義と平和は口づけし、まことは地から萌え出で、正義は天から注がれます。主は必ず良いものをお与えになり、わたしたちの地に実りをもたらします」。放送をお聴きの方々の中でまだ教会には行ったことがないという方々もまた、このような恵みの神を信じる幸いに生きてくださることを心から願っています。

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