信じることでよみがえる命

【クリスマスの挨拶】

皆さん、おはようございます。クリスマスおめでとうございます。日曜日の朝、いかがお過ごしでしょうか。最近欧米では「Happy Holiday」と言うこともありますが、今朝はあえて、「クリスマスおめでとう」と挨拶させていただきます。このクリスマスという日が、私たちにとって特別な日だからです。今年も残すところあと一週間となりました。一年の最後に、喜びの日が与えられました。ケーキやパーティ、プレゼント、恋人や家族、大切な人との時間。皆さんは「クリスマス」と聴いて、どんな思い出があるでしょうか。皆さんにとって今日この日が、素晴らしい日でありますように。

【「信じる」ことが壊れる時代】

先日インターネットで、学生時代にある合唱団体に所属していた時に聴いた、ある合唱曲を久しぶりに聴きました。谷川俊太郎という方の詩を題材にした「信じる」という曲です。コンクールでも歌われる有名な曲ですが、その詩の中にある「信じることでよみがえる命」という言葉が心に残りました。私たちは、日常生活でも何気なく「信じる」という言葉を使います。しかし、心から何かを「信じる」ということは、意外と少ないかもしれません。勇ましい政治家たちの言葉、安定した雇用や経済、インターネットの溢れる情報の数々、親しい人たちとの関係。「信じよう」と思う対象はたくさんあります。

しかし、「信じる」ことは簡単ではありません。勇ましい言葉が実現しなかった時、安定した雇用や経済が壊れていく時、信頼していたインターネットの情報が偽りだった時、親しい人たちとの関係が壊れた時、「信じる」ことが出来なくなった時、私たちの心は深く傷つきます。とりわけ私たちの現実は、信じられなくする出来事に溢れています。情報に溢れる今の時代、「信じる」ことは恐ろしいことのように語られます。何にも信じられない、頼れない。信じていたものが崩れ去る時、私たちの心には不安が広がります。「信じる」ことが恐ろしいことであるかのように思われる、そんな身を任せることの出来ない時代の中で、私たち心も体も疲れていきます。

【「信じる」ことは生きる源】

しかし先ほどの合唱曲は、「信じる」ことが壊れる時代の中で、それでも「信じることは生きる源」と歌います。私たちは生きる上で、「信じる」ことを必要としているのです。聖書の時代の人々も、ユダヤの人々は、「希望を失った民」でした。彼らはさまざまな価値観に囲まれる中で、神様を信じることから離れていきます。やがて彼らは大きな国同士の争いにより、自分の国を失い、散り散りにされる「捕囚」の時代を経験します。神から見捨てられた。それは彼らにとって絶望でした。しかし絶望の中にある彼らに、主なる神様は、預言者を通して、救い主の約束が伝えます。彼らは神様の約束を信じます。

ニコデモというユダヤ教のファリサイ派の人がいました。彼は老年で、ユダヤ教の宗教指導者として真面目に、誠実に生きていました。彼はイエス様を尊敬していました。そしてある夜、ニコデモは密かにイエス様を訪れて、聖書に記された神様の御心について尋ねます。その問答の中に、先ほどお読みした御言葉が語られます。「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」この言葉は「聖書の中の聖書」と呼ばれています。聖書を通して語られる神様の御心の中心が語られているからです。「神は世を愛された」そしてそれは「独り子をお与えになるほど」であることを、イエス様は語ります。

「独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るため」である、とイエス様はおっしゃいます。信じる者が、永遠の命を得る。誰かを信じる時、私たちは安心します。そして神様がお与えになった独り子を信じる時、そこに神様の愛があることに気付かされるのです。神様の愛が行き交うとき、私たちは永遠に生きる者とされるのです。

【生きる源が与えられた喜び】

「信じることでよみがえる命」わたしたちは信じることを抜きに、生きることは出来ません。そして信じることを通して、命がよみがえる。「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。」クリスマスとは、神様の愛の現れの日です。生きる源が与えられたことをお祝いする日です。その神様の愛は、すべての人々に注がれています。夜、寒空の下で羊の番をしていた羊飼い、東方の博士たち、世界の片隅に至るまで、救い主の誕生は知らされました。

クリスマスの日曜日、教会では礼拝が行われています。礼拝では、神様があなたに注いでくださる愛の語りかけが行われています。神様のあたたかい愛の語りかけが、私たちに生きる力を与えてくださる。どうぞお近くの教会へ足を運んでみてください。そこには命をよみがえらせる語りかけがあるはずです。皆さんのクリスマスの1日に、神様の祝福が豊かにありますように。