安心して休みましょう

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聖書の言葉

主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない。主はわたしを青草の原に休ませ、憩いの水のほとりに伴い 魂を生き返らせてくださる。

旧約聖書 詩編 23編1~3節

藤井真によるメッセージ

「主はわたしの羊飼い」という言葉で歌い始めるこの聖書の言葉によって、多くの人たちが慰め励まされてきました。「羊」であるこの私と「羊飼い」である神様との関係がここで歌われています。神様がまことの羊飼いとして、私の人生を守り、導いてくださるならば、「わたしには何も欠けることがない」と心から告白することができるのです。それは、人生において死の陰が散らつくようなことがあったとしても、そこで神様からいただく慰めと希望によって、いのちの道を歩むことができるということでもあります。

私たち人間のことを言い表している「羊」という動物は弱い動物です。だから、自分よりもどう猛な動物に襲われたらおしまいです。自分で自分の身を守る強さも持っていません。また、目も鼻も良くありません。犬のように帰省本能というものも持っていませんから、はぐれてしまったら自分の力で帰ることもできないのです。このように羊は欠けているところばかりです。だから、羊が安心して生きていくためには、羊の世話をし、敵から身を守ってくれる「羊飼い」という存在が必要なのです。そして、羊にとって羊飼いが必要なように、私たちにとって神様という存在がどうしても必要なのです。

まことの羊飼いである神様は、「わたしを青草の原に休ませ/憩いの水のほとりに伴い、魂を生き返らせてくださる。」(詩編23:2)そのような方だと、詩編を歌った詩人は言います。羊飼いと羊の姿を思い浮かべる時、緑が広がる丘や牧場で、自由に伸び伸びと走り回る羊の姿を想像する方もおられるかもしれません。しかし、聖書の背景にあるパレスチナの地域は荒れ野が広がっているのです。つまり、羊はいのちの糧となる草や水を見つけるのが極めて困難な場所で生きているのです。

しかし、羊飼いは羊を養うために、先頭に立って進み、いのちへと導いてくれます。そして、「青草の原」と「憩いの水のほとり」に連れて行き、いのちの糧とまことの安らぎを与えてくれます。聖書に「主は青草の原に休ませ」という言葉があるのですが、「休む」というのは「伏す」という意味があります。つまり、羊たちは青草の原に横たわって、安心して休んでいるのです。「仮」の休みではないのです。普段、動物たちが「休む」という場合、やはりどこかで警戒心というものを持っているのだそうです。例えば、敵が襲って来ないかどうかいつも気に掛けています。襲ってきたら、すぐに逃げることのできる体勢をいつも保っている必要があります。そういう意味では、休みつつも、ずっと緊張に満ちているのです。だから、羊が四つ足を折って地面に座り込んでいるというのは、恐れから完全に解き放たれている証拠です。なぜなら、心から安心して憩うことができる場所に自分がいるからです。

また、「憩いの水のほとり」というのは、「静かな水辺」と訳されることもあるように、そこには静けさと平和があります。たくさんの動物たちが、「我先に」と言って、水を奪い合っているのではないのです。安心していのちの水を得ることができます。安心できる根拠は羊たち自身の中にはありません。でも、いつもそばにいてくれる羊飼いが、羊たちのいのちを守ってくれます。だから、羊飼いに対する絶対的な信頼というものを羊は持っているのです。それゆえ、羊たちは安心して、青草をお腹いっぱい食べることができ、水をたくさん飲むことができるのです。

私たち人間も本当の意味で、休むということがなかなかできません。休みながら、休みが終わった後の仕事のことを既に考えていたり、休みの時ですら、少し仕事をしないと落ち着かないということもあるでしょう。あるいは、この休みが終わったら、また嫌な仕事が待っていると思うと、どこか憂鬱になってしまうこともあります。そのように、休んでいても色んなことを考え、悩まされ、結局心身共に十分な休みを得ることができずにいます。しかし、神様が私たちの羊飼いとして導いてくださる時、私たちは多くの弱さや問題を抱えつつも、そこでまことの安らぎを得ることができると約束してくださいます。

「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。」(マタイ11:28)という、たいへん慰めに満ちた主イエス・キリストのお言葉があります。「だれでもわたしのもとに来なさい」と招いておられる主イエスは、居ても立ってもいられなくなって、私たちの手をとって、青草の原に、憩いの水のほとりに伴ってくださるお方でもあります。そして、魂が生き返るような豊かな恵みで私たちを満たしてくださるのです。ぜひ、お近くのキリスト教会にお越しください。主イエスの恵みの言葉によって、まことの休みが与えられ、それゆえに、軽やかな足取りで前に進んで行くことができますように!

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