伝染病とキリスト教

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聖書の言葉

イエスが山を下りられると、大勢の群衆が従った。すると、一人の重い皮膚病を患っている人がイエスに近寄り、ひれ伏して、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち、重い皮膚病は清くなった。

新約聖書 マタイによる福音書 8章1~3節

江戸浩三によるメッセージ

昨年12月にメッセージをさせていただいてあれから11か月、ほぼ1年を経過しました。あの時、新型コロナ・ウイルスのことなど全く思いもしていませんでした。

毎日のように報道され、教会の礼拝形式も変更を余儀なくされました。

過去、大きな感染症が発生するごとにキリスト教が大きく広まったことは歴史の中から知らされています。

なぜ感染症が発生するごとにキリスト教は広がったのでしょうか?

第1に病人や貧窮者にキリスト教徒が示した献身的なお世話の姿勢でした。

第2に死者の丁寧な葬りと命の尊厳を大切にし、神の身元で大切にされ、永遠の命を得る、という死後の安寧を与えました。

第3に初代キリスト教の女性の地位の高さがありました。

今日の目から見れば多くの面でキリスト教の中にはまだまだ女性に対する差別的な姿勢が残っていますが、一般的に低かった女性の地位に対して、初期のキリスト教会では女性は指導者に選ばれるなど地位が高く困窮する女性への支援がなされ、ギリシャ、ローマの女性たちはキリスト教に魅力を感じ入信しました。

こうしてみると、キリスト教では感染症は恐れの対象ではなく、愛や奉仕の対象とされていることに気づかされます。

★初期のキリスト教徒たちは自分が感染することも恐れず病人のお世話をしました。そのことは家族や親せきの枠を超えて、またキリスト教徒以外の人々にも行われました。

こうした献身的なお世話の根拠は、「人にしてもらいたいと思うことは何でもあなた方も人にしなさい」、そして「受けるよりも与えるほうが幸いである」という聖書の言葉から表されています。

当時のキリスト者は他の人に対する人間愛、死者の埋葬に関する丁寧さ、よく鍛錬された生き方のまじめさが行動に表されていました。

★公衆衛生から見ても今日のような抗生物質の投与が無くても食事の世話、排泄物の掃除、死体の速やかな埋葬などの介護によって死亡率を下げることが出来ました。

キリスト教徒の死亡率が減り、ケアを受けたキリスト教徒でない人の死亡率が減りました。これを「奇跡」と感じた人々もいたようです。

手の洗い方について、まだウイルスなどの存在が知られていない時代に、現在私たちが教えられているものと変わらない方法が旧約聖書に教えられていることに驚きを感じました。(レビ13~15)このことを目の当たりにした人々がキリスト教に入信してキリスト教徒が飛躍的に伸びたのです。

★キリスト教徒は死者を丁寧に葬りました。このことはキリスト教の人間に対する温かな態度を映し出していました。また、どのような困難に遭っても私たちの人生には意味があり、死後に神のもとに安らぐことができるという教えは、地上の現実にあっても心を穏やかにすることが出来たのです。こうした昔の人々の実践には遠く及びませんが少しでも見習いたいものです。

新型インフルエンザ、SARS、エボラ出血熱、新型コロナ・ウイルスの流行と人類は感染性伝染病の脅威に何度もおびえてきました。

疫病に脅かされ、死にさらされる人類の歴史は聖書に記されているようにまだ終わっていません。聖書は神が書かれた書物です。

ですから、聖書の内容を信じることが出来るのです。

こうした長い歴史の中で感染病は繰り返され、それに懸命に立ち向かってきたキリスト教徒は信仰を捨てることもなく人々に対して献身的に働き、信仰の延べ伝えをしてきたことがわかりました。

今、新型コロナ・ウイルスの困難に遭って、“教会から発症者を出さない”という強い思いから礼拝出席者が密にならないように人数制約をし、教会に来れない方のために、説教CDの配布、テープ起こしによる文書化、ライブ配信などなど、今までに経験したことのない方式を工夫できたことは災いの中から生まれた今後に残る新しい恵みの糧を得られた幸いな事でした。

全世界的に蔓延したこの感染病は人の命を奪い、戦争を一時中断させ、経済を減退させ、日々の生活に大きな困窮を生み出しました。

新型コロナ・ウイルス禍の現代、過去の歴史に見られるように驚くほどキリスト教徒が増えることは見られ無いかもしれませんが、戦争を止め、互いの健康と生活の豊かさを誓い合うことはできないものでしょうか?

戦争に勝利を得るより国の復興と正しい信仰に立ち返ってはどうか?と強く思います。新型コロナ・ウイルス禍に翻弄されている2020年でしたが、2021年は病から解放され、さらなる新しいスタートの年でありたいものです。

残り少ない2020年を共に祈りましょう。

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