中途半端はイヤ!

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聖書の言葉

イエスは言われた。「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」 青年はこの言葉を聞き、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。

新約聖書 マタイによる福音書 19章21,22節

藤井真によるメッセージ

以前、「断捨離」という言葉が流行り、多くの人たちが共鳴しました。一人の主婦が提唱した言葉だと言われていますが、遡ると、インドの思想・哲学に起源を持つとも言われています。「断捨離」という字は、「断つ」「捨てる」「離れる」と書きます。自分の生活の中に入ってくるいらない物を「断つ」のです。また、自分が持っている物で、要らない物があったら「捨てる」のです。そして、あれも欲しい、これも欲しいという執着から「離れる」のです。

考えてみると、私たちの生活は色んな物に縛られていて、色んな物にしがみついている自分がいることに気付かされます。しがみついて生きる自分の足取りが、重いということを知っていながら、今ギューッと握りしめている手を離してしまったら、どうなってしまうのだろうか。考えるだけで恐くなり、不安になります。でも、勇気を出して、身の周りの物や欲を捨てた時に、初めて軽やかに伸び伸びと生きることができるようになったと、多くの人は口を揃えて言うのです。

主イエスは、御自分のもとにやって来て、「どうしたら救われますか?」と尋ねてきたひとりの青年に、「救われたいならば、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。それからわたしに従いなさい」とおっしゃいました。彼は、小さい頃から、神様の掟をしっかりと守って生きてきました。でも、彼には大きな問題がありました。莫大な財産を持っていたということです。これは、お金持ちは救われないという話ではありません。貧しいからこそ、そのわずかな財産にしがみつくということもいくらでもあると思います。財産が多かろうが少なかろうが、主イエスに従うことの妨げになるならば、それらを全部捨てなさい。それからわたしに従いなさいということです。

救いのことや信仰生活について考えるとき、主イエスも「捨てる」ということが大事なことだとおっしゃいました。「断捨離」も捨てることを提唱し、主イエスもまた「捨てる」ことの大切さを訴えます。事柄は同じように見えるかもしれません。どこか違いがあるのでしょうか。それは、私たちがいくら捨てる生活を身に着け、軽やかになったと言っても、神様に従わなければ、実は何の意味もないということです。

富める青年は、主イエスの言葉を聞いて、「何て無茶なことを命じるのだ」と腹を立てたわけではありませんでした。本当にそのとおりだと思いました。でも、握りしめていた手を開いて、貧しい人たちに施すことができませんでした。そして、「悲しみながら立ち去った」というのです。このあと、彼の人生はどうなったのでしょうか。きっと、「自分には決定的な何かが欠けている」という思いを抱えながら、不安な日々を過ごしたのではないでしょうか。

主イエスは、御自分の前から立ち去っていった青年を、悲しみのまなざしで見つめておられたに違いありません。「金持ちが救われるのは本当に難しいのだ…。あなたを救ってあげたいのだけれども、とても難しいのだ…。」いや、本当のことを言えば、難しいというようなものではなくて、救われるのは絶対に無理な話なのです。

しかし、主イエスはおっしゃいます。「人間にできることではないが、神は何でもできる。」絶対に救い得ないと思うような者をも、神ならば救うことができる。神には何でもきる。そのためならば、わたしは父なる神の御心に従い抜くのだ。そうおっしゃった主イエスは、悲しみを抱えながら、闇の中に消えていったあの青年を追いかけるようにして進んで行かれました。そこにキリストの十字架が立ちました。

中途半端な自分を変えるために、あれもこれも全部捨てて、「あぁ、軽くなった!心がスッキリした!」と喜びながら、実は本当に捨ててはいけないものや、本当に頼るべきお方まで捨ててしまっているのかもしれません。その度に、余計な傷を負ってはそれをまた放り投げ、負ってはまた放り投げるのです。人は物を捨てたり、人間関係をすべて断っただけでは解決できない大きな問題を抱えているのではないでしょうか。

そこで聖書は語るのです。人の生き方というのは実はとてもシンプルなものだと。しかし、幾重にも絡み合った心が、本当に頼るべきお方の姿を見えなくしてしまっているだけなのです。だから、いつまでも満たされない悲しい自分がいるのです。その悲しみを背負って十字架にかかって死んでくださったお方がおられます。その主イエスがおっしゃいます。神様に頼り切ってごらん、委ね切ってごらん。主イエスはあなたをまことの救いと平安の中へと招いておられます。

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