現実となるクリスマス

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聖書の言葉

「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。」

新約聖書 ルカによる福音書 2章14節

常石召一によるメッセージ

今日はクリスマスです。神の子イエス様が人となってこの世に来て下さったことを覚える日です。そのクリスマスの出来事を一番初めに知らされたのは、ルカによる福音書によると羊飼いでした。夜、羊の番をする羊飼いのもとに光の中から天使が現れて救い主の誕生を告げ、讃美の歌声が響き渡る。子ども達による劇や映画でこういう場面をご覧になった方は多いと思います。そのせいかクリスマスというと何だかメルヘンチックな印象を抱きがちです。私たちの現実とはかけ離れた世界だと感じておられる方もあるのではないでしょうか。

しかし聖書は決しておとぎ話を記しているのではありません。神様は聖書を通して人に神の光を受け取ってもらいたい、そう考えておられるのです。

ある精神科医がこう言っています。「死に直面した人の心を最も苦しめることの一つは、『果たして自分の人生に意味があったか』という問いである」。死を初めとする極限状況に直面させられた時に自分の存在の意味・人生の意味を見出すことが出来ない、私たちにとってこれはとても辛いことです。

ジョニー・エリクソン・タダというアメリカの女性がおられます。「ジョニー」という自伝が日本語でも出版されています。ジョニーさんは18歳の時に誤って首の骨を折り、首から下が麻痺してしまいました。ベッドに縛り付けられる生活を送っていましたが、事故から1年半たったクリスマスの日、久しぶりに家に帰ることが出来ました。かつて楽しく過ごしたクリスマスをまた楽しむことが出来るのです。初めは家族や友達に囲まれて懐かしく幸せな気持ちでした。しかしやがて以前とは違うということを痛いほど感じさせられました。衰弱してやせ細りソファに座ることも出来ないのです。雪の中を走り回ったりキャロルを歌って歩いたりしたあの楽しいクリスマスは二度と戻ってこないのです。

彼女は悲しい思いで病院に戻ります。そして信仰や希望や信頼といった聖書の言葉に耳をふさぐようになります。調子が良すぎると感じるようになったのです。

その病院には他にも全身が動かない同じ症状の人がいました。その中の一人の男の人が苦しみの中で多くの本を読み、宗教や哲学を研究していました。そしてその人はその結論を、深く悲しんでいるジョニーさんにこう言うのです。「僕のような人間は生きる意味はない。僕はもう地獄にいるんだ。人生に意味なんかない。君はもう人格を備えた神なんていう考えはばかげたものだとわかったはずだ。神なんか、いないさ」。そう断言しながらこの男の人は益々沈み込んで行ったのです。その様子を見てジョニーさんは死にもの狂いで神様に祈るようになります。「私には二つの選択肢しかない、あなたがおられるかおられないかどちらかです。私は信じたいのです」と。彼女は人生の意味を見出したい、神様を見出したい、と切実に願いました。そうでなければそれこそ絶望しかない。

それからしばらくしたある夜のことです。ジョニーさんにとって夜は孤独や挫折感が押し寄せる時間でした。しかしその時、イエス様がすぐ傍らに来てこう語っておられると感じたのです。「わたしはいつもあなたと一緒にいる。あなたのために命を投げ出すほど私はあなたを愛している。たとえあなたのからだが麻痺しているとしても、あなたの人生をどう活用したらいいかを一番良く知っている」。そしてジョニーさんは気づきました。「イエス様も十字架の上で手や足を動かすことが出来なかった、誰も助けてくれなかった、死を待つだけという恐怖の時間を味わわれた、私と同じだった」。誰も自分のことが分からなくても、誰も自分を助けることが出来なくても、イエス様は自分のことを、気持ちも含めて全部わかって下さる、そういう状況に身を置いて下さっていたということに気が付くのです。

聖書は、イエス様は天から来られた神の子だと記します。人の苦しみが分かるような形で天から来られたのです。イエス様は十字架に架かり理不尽な苦しみを負われました。そして死を経験なさいました。それで終わりではなくて三日目に復活させられ、天へと上って行かれたのです。なぜイエス様はそのようになさったのか。それはどのような人であってもイエス様に励まされ、イエス様のように復活させられ、天へと昇って行くことが出来るためだったのです。

イエス様に出会ってそれでジョニーさんの全ての問題が解決したわけではありませんでした。ジョニーさんにはその後も様々な試練や苦しみが続きます。神様を疑ったり責めたりしてしまいます。しかし次第にイエス様のお姿に現れた神様の愛が本当に分かるように、腑に落ちるようになっていくのです。今、ジョニーさんはイエス様に現れた神様の愛を人に伝えておられます。ジョニーさんは自分の人生に意味を見出したのです。

私たちはクリスマスに天から来て下さったイエス様に出会うとき、自分の人生には神様の目的があることを知ることが出来ます。無意味などではないということが分かるのです。

クリスマスの出来事はメルヘンではありません。私たちを地から天へと引き上げる神様の現実です。是非この喜ばしい知らせを受け取るために今日お近くの教会で行われているクリスマス礼拝にお越しくださいますように。

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