しかし、勇気を出しなさい

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聖書の言葉

「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。」

新約聖書 ヨハネによる福音書 16章33節

藤井真によるメッセージ

個人的なことでたいへん恐縮ですが、今、お読みした御言葉は、私が好きな聖書の言葉の一つです。最初に聞いたのは、いつだったでしょうか。正確に思い出すことはできないのですが、恐らく、私が高校生の頃だったと思います。クリスチャンとして歩み始めて間もない頃でした。私が通っていた教会では、ヨハネによる福音書から聖書のメッセージが語られていました。その時にこの主イエスの言葉を聞いたのです。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。」

当時の私は、大学受験の真っ只中にいたと思います。けれども、受験をすることは正直、私の本心ではありませんでした。高校を卒業したら、周りの多くの人が大学に進学するから、自分も一応受験をしなければ格好がつかない。そう思って勉強を続けていただけなのです。

受験勉強を始めるまでは、クラブ活動に熱心に励んでいました。私の高校生活は、もう部活のためにあったと言っても、過言ではありません。成績もそれなりに残すことができましたし、本当に満足した生活をしていたのです。けれども、高校3年生になって引退しなければいけなくなりました。それも最後は不本意な結果を残したまま辞めていったのです。

その時、私は大事なものをすべて失った気持ちになりました。また、部活動で残してきた成績や努力が、受験にはまったく役に立たないということが分かったとき、結局、この世の価値というのは、勉強ができるかどうかなんだ、良い大学に行けるかどうかなんだ、と愚痴ばかりこぼすようになりました。部活ばかりで、勉強をまったくしていなかった私にとって、受験は本当に辛かった思い出しかありません。模擬試験で自分の悪い成績が出る度に、自分は駄目な奴だ。生きる価値もないと思い込んでいたのです。

主イエスは、「あなたがたには世で苦難がある」とおっしゃいました。私たちも様々な苦難を経験します。様々な人生の岐路に立たされます。そのときに、生きていくうえで何が最も大事なことなのかさえ分からなくなってしまうことがあるのです。

けれども、主イエスはおっしゃいます。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。」私自身、主イエスの「しかし、勇気を出しなさい」という言葉を聞いた時、締め付けられていた心から解放されるような経験をしました。自分がこれまで苦しんでいたのは、勉強ができないからとか、人間の価値は何なのかが分からなくて悩んでいたのではないのだ。結局のところ、神様をちゃんと見ていなかったからだと気付かされたのです。そして、辛い状況の中にあっても、神様をちゃんと見つめていれば、勇気を出して生きられるのだ。苦しい中にあっても、神様といつも向き合っていれば、大丈夫なのだ、という励ましをいただいたのです。

ところで、「勇気を出す」とは具体的にどういうことでしょうか。ある人がこんなことを言っています。「勇気を出す。それは神様にお祈りすることだ。」と。勇気を出すことと、お祈りをささげることが、どう結びつくのだろうかと不思議に思われる方もおられるかもしれません。神様にお祈りする人は、勇気がない人がすることではないだろうか、つまり、弱い人がすることではないだろうか。そのように思われる方もおられることでしょう。でも決してそうではないのです。本当に困ってしまって、自分の力ではどうしようもない。神様に頼るしか他ない。そう思って、神様にお祈りすることは、勇気を出すことなのです。

「困った時の神頼み」というのは、決してわるいことではないのです。むしろ問題なのは、「困った時の神離れ」です。困ったことが起こると、「こんなことをする神様は、本当の神様じゃない」と言って、神様から離れてしまうのです。神様と向き合って、祈ることをしなくなるのです。私自身も自分の信仰生活、特に若い頃の信仰生活を振り返る時、神様にお祈りをしないで、神様から逃げてばかりいたなあ、と反省をしています。あの時、ちゃんと神様と向き合っていたら、ちゃんと祈っていたら、きっと多くの恵みをいただけただろうにと、今になってそう思うことがあります。

でも、主イエスはそんな私を見捨てることなく憐れんでくださいました。「しかし、勇気を出しなさい」。そのように語られた後に、「わたしは既に世に勝っている」とおっしゃってくださいました。「世」というのは、主イエスを救い主として信じようとしない世界です。その中に私自身も含まれているのです。でも、そういう私が罪の力に吞み込まれないように、主イエスは十字架の上で、私の罪を背負って死んでくださいました。そして、復活をして罪と死に勝利してくださったのです。

だからこそ、安心して、そして勇気を出して神様にお祈りすることができます。神様を信じて歩むその歩みにおいて、これからも様々な試練や誘惑に遭うことでしょう。でも、そのような中で、「勇気を出しなさい」と呼びかけてくださる主イエスの声に応えて、神様に祈り、神様と共に歩んでいくならば、私の歩みは必ず守られる。そのように信じています。

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