キリストのまなざしの中で②

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聖書の言葉

ペトロはヨハネと一緒に彼をじっと見て、「わたしたちを見なさい」と言った。その男が、何かもらえると思って二人を見つめていると、ペトロは言った。「わたしには金や銀はないが、持っているものをあげよう。ナザレの人イエス・キリストの名によって立ち上がり、歩きなさい。」

新約聖書 使徒言行録 3章6~8節

吉田実によるメッセージ

前回もお話しいたしましたように、今お読みいたしました聖書の箇所は、主イエスの弟子の一人であるペトロが、生まれながら足の不自由な男を癒すという奇跡を行った記事の一部です。これはただ、「主イエスの弟子たちもこんなすごいことが出来たのですよ!」ということを告げる物語ではなくて、まともな人間として見てもらえなかった男が、弟子たちを通して注がれる主イエスの愛のまなざしの中で、人格ある一人の人間として立ち上がった。そういう物語なのです。

イエス・キリストは神の独り子であるにもかかわらず、人間となってこの世に来てくださいました。しかもこの私の罪の責任を全部になってくださって、私の代わりに十字架の上で罰を受けて下さいました。私はそれほどまで神様に愛されている、大切な私なのであって、このイエス・キリストを信じるなら、私もすべての罪を赦されて、イエス・キリストに結ばれて神の子とされて、永遠の命を生きることが出来る。このことを知った時に、この主イエスの愛のまなざしの中で、人は本当の意味で人間らしく立ち上がることが出来るのです。たとえこの生まれながら足の不自由な男のように病や障害が癒されなくても、いえむしろ次第に弱り衰えて行く自分自身であっても、その現実を、ある落ち着きを持って、むしろ積極的な気持ちで、受け止めて行くことが出来るようになるのです。

私たちに与えられていますこの恵みの大きさを、とっても素敵に表現した詩があります。カトリックの晴佐久昌英先生が作られた「病気になったら」という詩です。こういう詩です。

「病気になったらどんどん泣こう痛くて眠れないといって泣き手術がこわいといって涙ぐみ死にたくないよといってめそめそしよう恥も外聞もいらないいつものやせ我慢や見えっぱりを捨てかっこわるく涙をこぼそうまたとないチャンスをもらったのだ自分の弱さをそのまま受け入れるチャンスを病気になったらおもいっきり甘えようあれが食べたいといいこうしてほしいと頼みもうすこしそばにいてとお願いしよう遠慮も気づかいもいらない正直にわがままに自分をさらけだし赤ん坊のようにみんなに甘えようまたとないチャンスをもらったのだ思いやりとまごころに触れるチャンスを病気になったら心ゆくまで感動しよう食べられることがどれほどありがたいことか歩けることがどんなにすばらしいことか新しい朝を迎えるのがいかに尊いことか忘れていた感謝のこころを取りもどしこの瞬間自分が存在している神秘

見過ごしていた当たり前のことに感動しようまたとないチャンスをもらったのだいのちの不思議を味わうチャンスを病気になったらすてきな友達をつくろう同じ病を背負った仲間日夜看病してくれる人すぐに駆けつけてくれる友人たち義理のことばも儀礼の品もいらない黙って手を握るだけですべてを分かち合えるあたたかい友達をつくろうまたとないチャンスをもらったのだ試練がみんなを結ぶチャンスを病気になったら必ず治ると信じよう原因がわからず長引いたとしても治療法がなく悪化したとしても現代医学では治らないといわれたとしてもあきらめずに道をさがし続けよう

奇跡的に回復した人はいくらでもいるできるかぎりのことをして信じて待とうまたとないチャンスをもらったのだ信じるよろこびを生きるチャンスを病気になったら安心して祈ろう天にむかって思いのすべてをぶちまけどうか助けてくださいと必死にすがり深夜ことばを失ってひざまずこうこのわたしを愛して生み慈しんで育て

わが子として抱きあげるほほえみにすべてをゆだねて手を合わせようまたとないチャンスをもらったのだまことの親に出会えるチャンスをそしていつか病気が治っても治らなくてもみんなみんな流した涙の分だけ優しくなり甘えとわがままを受け入れて自由になり感動と感謝によって大きくなり友達に囲まれて豊かになり信じ続けて強くなり自分は神の子だと知るだろう病気になったらまたとないチャンス到来病のときは恵みのとき」

こういう詩です。私たちの人生には様々なことがあります。悲しいことやつらいことも起こります。そして最後は誰もが、病や加齢のゆえに衰えて、人生の歩みを閉じるのです。でも、主イエス・キリストの愛のまなざしの中で「私は神様に愛されている、神様の子どもなのだ」と知る時、そして私の人生は死んで終わりではないと知る時、私たちは安心して衰えながら、その中でなお、神様の恵みを数えることが出来るようになるのです。

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