思い悩むな

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聖書の言葉

「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。・・・だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。・・・だから、明日のことまで思い悩むな。」

新約聖書 マタイによる福音書 6章25、31、34節

乾 順によるメッセージ

今読みました聖書の箇所には「思い悩むな」という言葉が3回出てきます。この言葉は、もとは「いろいろな部分に分裂する」という意味の言葉です。「心配する」「気遣う」「気がかり」という意味もあります。

なくてならない一つのことに心を向けるのではなくて、必要でない多くのことに心を向けるのが思い悩みです。わたしたちは思い悩むことのない人生を過ごせたらどんなにいいだろうか、と思います。わたしたちは好きこのんで思い悩んでいるのではありません。しかし、現実に思い悩まなくては生きられない生活をしています。

ここでイエス・キリストは自分の命、食べ物、飲み物、衣服、明日のこと、将来のことについて全然考えてはならないと言っておられるのではありません。「思い悩むな」とはそういう意味ではありません。

イエス・キリストは26節では「空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか」と言っておられます。鳥は自分で食物を準備し、生産しません。しかし、食べるものが与えられています。神様は小鳥の面倒を見、世話をして下さっています。いつも何か食べ物があるようにと、気遣っておられます。これは単なる事実を語られたにすぎません。確かに空の鳥も神様が養って下さっています。けれども神様は鳥の父ではありません。

「あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる」。イエス・キリストは、神様はあなたがたの天の父である、と言われました。わたしたちの父なる神様は空の鳥でさえ、これほどまでに世話をしてくださっているのですから、当然わたしたちを、もっとよく世話をしてくださるはずです。鳥にも価値があり、神様の目に尊いものです。

それ以上に、私は神様の子としていただいているという事実を知るとき、神様は必ず私の世話をしてくださるはずだ、と確信できます。

25節のみ言葉に注目してみましょう。「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか」

イエス・キリストは、わたしの命自体について、また体に着る物について思い悩んではならないと言っておられます。ここで言われているのはわたしたちの生活のある一面だけを言っているのではなく、全生活をなしている物が意味されています。例えば健康、体力、この世での成功、そのほかわたしたちの生活に起こる出来事は何でも含まれています。

イエス・キリストはこう語っておられるのです。「ちょっと待ちなさい。思い悩む前にこのことを考えてみなさい。あなたは何かといえば心配し、思い悩んでいる。あなたの命のことを考えてみなさい。あなたはそれをどのようにして得たのか。あなたの命はどこから来たのか」。

答えはもちろん「神様の賜物(たまもの)」です。人間は命を創造できません。自分でこの世に来ようと決めて来た人間など一人もいません。わたしが今こうして生きているという事実は、全面的に神様がそう望み、そう決定されたからです。命そのもの、わたしという存在そのものが神様の賜物です。そうするとこうなります。神様が命の賜物を与えてくださったのなら今になって突然、その命の維持、継続に心を向けてくださらなくなる、などとどうして考えられるでしょうか。

神様は、神様の方法でわたしたち一人一人の命を維持してくださるのです。そして、わたしたちはそれについて少しも思い悩む必要はないのです。わたしたちは神様がこの世での生活において、しなさいと命じておられることをしなければなりません。出て行って働き、お金を儲けたり、そのたぐいのことをしなければなりません。しかし、イエス・キリストが言おうとされたことは、わたしのこの命の維持に必要なものが突然足りなくならないかなどと考えたり、心配したり、思い悩んだりする必要は少しもないということです。そういうことはわたしたちには決して起こりません。神様がわたしに命を与えてくださったのであれば、神様はまた、このわたしの命の維持のためにも心を向けてくださるのです。イエス・キリストは、神様がどのようにして維持してくださるかについては語っておられません。神様が維持してくださるとだけ言っておられます。

今も神様はわたしたち一人一人のことを心にかけてくださっています。もし神様が望まれなかったら、わたしたちはだれ一人、この世に生まれてきませんでした。わたしをこの世に生まれさせて下さった方が、わたしを置き去りにしたり、見捨てたりなさらないという確信と信頼を持って、歩んでまいりましょう。

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