輝かしい勝利

私たちは毎日、一人一人が、それぞれ別々の状況の中で生活をしています。それぞれ、本当に自分自身のことで慌ただしく生活をしているのだと思います。その中で、この朝は、共に心静かに聖書の言葉に心を傾けたいと思います。

今お読みした聖書の箇所に、「輝かしい勝利」という言葉があります。私たちがこの勝利ということを考えてみる時に、どうでしょうか。私たちは誰でも、自分が勝利をしたいという思いがあると思います。自分たちが人生を生きていく中で、何か自分が勝ちたい、勝利をしたい、という思いがあると思うのです。

しかし、そもそも私たちにとっての本当の勝利とはどのようなものなのでしょうか。私たちは、誰でも本当の勝利が欲しいと思います。けれども、それが欲しいと思いながらも、実はその本当の勝利がどういうものなのか分からない、それが私たちの現実ではないでしょうか。その中で今朝は、聖書にある「輝かしい勝利」をご一緒に見たいと思います。

今日の聖書の箇所で言われている勝利は、そもそも私たち自身が生み出すような勝利ではありません。何か私たちの必死の努力によって勝ち取る、というようなものではないのです。私たちが勝ったり負けたりというのであれば、それはとても波のあるものです。揺れ動きやすいものです。完全な勝ちではありません。私たちはそれぞれの生活の中で、物事が上手くいって勝ったと思う時もあれば、負けたように思うこともあります。そういうものは、本当の勝利とは言えません。本当の勝利は、私たちの外から与えられるものです。そこに、私たちが本当に希望を持って受け取ることのできる勝利があります。

今日の箇所には「わたしたちを愛してくださる方によって輝かしい勝利を収めている」とあります。自分が必死で努力をして、この勝利をつかみ取ったというのではなくて、ここでは私たちを本当に愛してくださる方によってこの勝利が与えられている、ということが言われています。私たちを最も愛するものは何でしょうか。それは、例えば私たちの両親でしょうか。子供たちでしょうか。自分たちの兄弟、それとも、親しい友人でしょうか。

聖書に書かれている愛は、それを超えた愛です。どのような時も決して、変わることのない愛ですし、私を確かに支える愛です。聖書の神様は、私たちのことを深く愛してくださいますし、神の愛はイエス・キリストにおいて実現をしています。

神様は、御自分の独り子であるイエス・キリストを惜しむことなく十字架の死に引き渡されました。それは、私たちのためです。キリストはその十字架において、私たち全てのものを愛しておられます。それは私たちの救いのためですし、私たちの確かな勝利のためです。十字架の死から甦られたイエス・キリストは、今も私たちを愛され、この輝かしい勝利への招きを、ラジオを聞いておられるあなたにもなさっています。

私たちは誰でも、このキリストにある輝かしい勝利が必要です。キリストが必要ない、十字架が必要ない、という人は、一人もおりません。逆に言えば、私たちはこのような神様の完全な勝利と、キリストの愛を必要とするほど、それ無しでは、惨めで罪ある存在だということです。聖書が語っているのは、そういう私たちへの神様の救いです。

十字架において示されたキリストの愛は、あらゆるものへの勝利です。苦しみや、災い、自分たちの生活の問題、また死ということへの勝利です。全てに対する勝利です。イエス・キリストによって与えられる輝かしい勝利は、私たちから決して取り去られるものではありませんし、何かそれ自体が負けたり、失われることのないものです。この輝かしい勝利というのは、私は生涯ここに生きて行くことができる、自分はここで大丈夫なのだ、このように私たち一人一人に確信をさせるものです。

私自身、幼い時からずっと教会で過ごしてきました。けれども、決して順調にここまで信仰を持ち続けて過ごしてきたのではありません。教会から心が離れていた時期がありました。それは要するに、キリストにある輝かしい勝利ということに、なかなか確信が持てなかったからだと思います。その中で、いろいろと自分なりの苦しみや試練を経験することがありました。そして、やがて、私が信仰をはっきりと持つようになった友人との出会いも与えられました。

その中で私が覚えたことは、このキリストの輝かしい勝利を信じて生きることは自分にとって確かなことだ、ということです。このキリストに愛されている自分は、たとえ、いろいろ上手くいかないこととか悩ましいことがあったとしても、確かに生きることができる、大丈夫なのだという思いです。このキリストにある輝かしい勝利とは、私は生涯このキリストに生きていくのだ、とはっきりとした確信を与えるものです。ラジオを聞いておられるお一人お一人が教会の礼拝に導かれ、この輝かしい勝利に私たちと共に生きることを願っています。