先立ってくださる神様

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聖書の言葉

主は彼らに先立って進み、昼は雲の柱をもって導き、夜は火の柱をもって彼らを照らされたので、彼らは昼も夜も行進することができた。昼は雲の柱が、夜は火の柱が、民の先頭を離れることはなかった。

旧約聖書 出エジプト記 13章21節-22節

金主恵によるメッセージ

2024年も残りわずかとなりました。残りわずかになると、この1年を振り返りたくなります。皆様にとっては、どんな1年でしたか。私にとって2024年は、「新しい挑戦」の連続でした。今年の3月に神戸改革派神学校を卒業し、板宿教会の伝道者になりました。やはり学生の時とは違い、一つの教会の伝道者として歩むことは、並みならぬ責任が必要でした。責任感が少し強い私は、なかなか思い通りに行えない自分にガッカリしてしまい、体調も悪くなって教会に迷惑をかけました。そして、より一層自分にガッカリして自信をなくしてしまう悪循環の中にあって、毎日が新しい挑戦でした。その時に思い出した聖書の人物が「モーセ」です。

モーセは、エジプトで奴隷として苦しんでいたイスラエル人を脱出へと導く役割を神様から与えられた人物です。彼は、最初に神様から脱出の使命を与えられた時に、「わたしは何者でしょう」と答えます。「こんな私が、取るに足らない、くだらない、器の小さい私がそんなことできません。」と正直に自分の弱さを吐き出します。このモーセの姿に私はとても共感できるのです。「卒業したてで、体調管理もできないこんな取るに足らない私が、伝道者として、牧師としてこれから歩める自信がありません」と何度も尋ねてきたからです。弱さを訴えるモーセに対して神様は、「わたしは必ずあなたと共にいる。このことこそ、わたしがあなたを遣わすしるしである」と言われます。「大丈夫、わたしが必ずあなたと一緒にいるから。安心して」と励ます言葉であり、同時に勇気を与える言葉です。しかし、自分の弱さで不安があふれていたモーセは何度も神様の使命から逃げようとします。しかし、その度に神様は絶えず耳を傾けて下さり、不安を取り除いてくださいます。そして、モーセは「必ずあなたと共にいる」と語られた神様を信じて、イスラエル人をエジプトから脱出させます。

神様はモーセに語られたようにずっと共にいてくださり、導いて下さいました。その様子が表れている一つの箇所が今日お読みした箇所です。神様はモーセとイスラエルの民よりも先頭に立って進み、昼は雲の柱で、夜は火の柱で導かれました。ずっと共にいてくださったのです。そして、その旅路をずっと導き、先頭を離れることがありませんでした。モーセの旅路は、様々なことがありました。ファラオとの長い戦い、海を渡ること、民の不平、荒れ野での生活など。これら全てをモーセは予想できたでしょうか。できなかったと思います。様々な出来事に出会う中で不安になることも、自信をなくすことも多々あったと思います。しかし、彼が絶えず歩めたのは、神様がずっと共にいてくださり、先立って進み、導いて下さったからです。モーセは生涯を終える時、後継者のヨシュアにこんな言葉を伝えました。

「強く、また雄々しくあれ。恐れてはならない。彼らのゆえにうろたえてはならない。あなたの神、主は、あなたと共に歩まれる。あなたを見放すことも、見捨てられることもない。」

モーセは、最後まで次の世代に先立つ神様を伝えながら励まし、応援しています。それは、モーセ自身も先立つ神様に応援され、励まされていたからだと思います。“主なる神様は、私たちの先頭になって前に進み、いつも共におられ、見放すこともなく、見捨てられることはない”と決して一人ではないことをヨシュアに伝えます。「これからどうすべきなのか。自分にはできるのか。どんな未来が待っているのか」と様々な不安が襲うヨシュアにモーセは「先立ってくださる神様」を伝えたのです。そして、それは聖書を通して神様が今を生きる私たちに伝えている言葉でもあります。

私たちもそれぞれの人生を歩む中で、様々な不安があります。自分の弱さによって、自分にガッカリし自信をなくし、暗闇を歩いていると感じる時があります。涙を流すことも、無気力になることもあります。それだけではありません。視野を広めるならこれからの日本、世界の歩みに対しても様々な不安が私たちを襲ってきます。その時に、神様は言われます。「大丈夫、わたしが必ずあなたと一緒にいるから。安心して」と。先頭に立って導いて下さる神様は、私たちを見放すことがありません。必ず共にいてくださいます。不安になったときは、何度も何度も素直に神様に言ってみてください。神様は、必ず耳を傾けてくださいます。そして、必ず私たちが分かる仕方で不安を取り除いて下さいます。「わたしは必ずあなたと共にいる」。この言葉に励まされながら、残された2024年も、そしてこれから来る2025年も先立ってくださる神様に期待して、楽しく歩んで行きたいと願っています。

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