平和のための努力

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聖書の言葉

できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。

新約聖書 ローマの信徒への手紙 12章18節

川瀬弓弦・エダによるメッセージ

本日とクリスマス・イブの二回、まずはハンガリーより川瀬エダさんの賛美とメッセージをお届けします。まずはクリスマス賛美をお聞きください。寒く暗い世に来てくださる主イエスを待ち望むハンガリー語の賛美です。

♪賛美

戦禍で二回目のクリスマスを迎えるウクライナは、ハンガリーのすぐ隣りにあります。特に平和を覚えて祝うこのクリスマスの時期に、平和とかけ離れた現状に苦しむ多くの人々のことを想うと心が痛みます。一体どうしたら戦争が終わり、平和な日々が戻ってくるでしょうか。一度始まってしまった戦争をやめることほど難しいことはありません。人間の意地やプライドがそこには働いているからです。そういうところには、戦禍で泣き叫ぶ子どもたちの声もなかなか届きません。

でも、戦争が起こる前に、次の悲惨な戦争が起こらないように、そのために私たちにできることはきっとあるでしょう。今年になって、娘のクラスに新しくウクライナの男の子が難民としてやって来ました。そこで娘と友達は、その子を歓迎するために、グーグル翻訳というインターネットツールを使ってウクライナ語で手紙を書いたのです。言葉も文化も違う国で、その子はとても不安だったでしょう。でもその手紙を呼んで、きっとホッとしたと思います。自分たちから歩み寄ってきてくれたと。あらゆる機会とツールを使って、これまで何の関係もなかった子どもと、できるかぎり平和な関係を作ろうと驚くべき努力をしたのです。子どもたちの間では、そうやって次の戦争の火種が消えていくのです。

さて、「郷に居れば郷に従え」という言葉があります。大切な心がけですが、ともすれば「ここは日本なんだから」と言って、相手の意思に反して自分の価値観を押し付けようとしたりしてしまいます。でも、そのような姿勢は平和実現の助けになるでしょうか。

先日、学校内でタレントショーのようなイベントがありました。その中でウクライナの子どもたちがハンガリー語とウクライナ語の歌を披露しました。ウクライナ語で歌を歌っている時、何人かは涙を流しながら歌っていました。それを見た私たちは、やっぱり故郷が恋しいのだ、帰りたいのだと改めて深く理解しました。私たちはこの子たちを、逃げてきているハンガリーに無理やり溶け込ませようとしてはいけないのです。そうではなくて、めいいっぱいの愛を注いで、彼らが故郷に帰る時のための準備をしてあげなければならないと感じました。そうすることが難民を受け入れる国と、そこに生きる人々の使命だと思います。なぜなら私たちはウクライナの将来を担わなければならない宝物を預かっているからです。

クリスマスにお生まれになったイエス・キリストが私たちと同じ人となり、私たちと同じ地上に立ってくださいました。神の御国の掟に全く合わせられない私たちのために、自らの姿、ご性質さえも変えて合わせてくださったのです。そうやって神様と私たちの間に平和を実現してくださいました。今度は私たちが平和実現のために、次の戦争の火種を消すために一体何ができるのかを考えるクリスマスとなりますように。

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