安らぎへの招き

この朝は「安らぎへの招き」という題でお話しさせて頂きます。私たち誰しもが、日々の歩みの中で疲れを覚えます。一時的な休息や旅行などの気分転換だけでは、どうにもならない深い疲れを覚える時があります。肉体的な疲ればかりでなく、精神的な疲れ、人間関係から来る重荷があります。それは自分から望んで背負った重荷ばかりではなく、背負わされた重荷や労苦もあります。イエス様は労苦や人生の重荷を担い、深い疲れを覚えている人々にこう招いておられます。｢わたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。｣「休ませてあげる」という言葉は「安らぎを与える｣という意味です。天から来られた神の御子であるイエス様は重荷を負い、疲れている私たちに安らぎを与えることができるお方です。それでは、イエス様はどのように休ませてくださるのでしょうか。さらにイエス様はこう言われます。｢わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる｣。ここでイエス様は、私たちが｢安らぎを得るためには」｢元気になるためには」何もしないのではなく、イエス様の軛を負い、イエス様から学ぶように求められています。「軛」は、昔の農村などによく見られたものです。二頭の牛は肩の上に軛を負わされ、その間に鍬や荷車を固定され、ペアになって耕作をしたり、荷物を運んだりしました。このようにイエス様と共に歩みながら、どう生きるべきかをイエス様から確かな道を教えられ、私たちに平安が与えられるのです。それでは「イエス様の軛を負う」とは何でしょうか。それはイエス様から学ぶということです。イエス様は多くのことを教えてくださりました。その中で二つだけをお話しします。一つは、神様の愛と罪の赦しです。人間同士の間では、あの人は立派であるとか、あの人よりは自分がましであるとか言いますが、しかし、神様の前では人間は,皆罪人です。妬み、悪口、傲慢、人を騙すこと、神様に感謝せず、自己中心に生きるなど。これらの中で自分は一つも当てはまりません。このように言える人は、おそらく、一人もいないのではないでしょうか。このように神様の前で正しい人(義人)は一人もいません。皆、罪人です。神様は罪人を裁き、滅ぼすことができる正義の方です。しかし、同時に憐れみ深い方でもあられます。神様は罪人を滅ぼす道ではなく、罪人を救い出す道を選んでくださいました。そのために神の御子であるイエス様が十字架の上で私たちのすべての罪を償ってくださいました。イエス様は私たちのためにご自分の命を捨てるほどに私たちを愛してくださいました。私たちが主イエスの愛と罪の赦しを受け入れる時に自分を責めることから解放され、心に平安が与えられ、新しく生きる力が湧いてきます。もう一つは神様を愛し、人を愛して生きることです。｢イエス様の軛を負う｣とはそのような愛を目指して生きるということです。私たちが神様を愛し、人を愛して生きることができるならば、私たちは妬み、憎しみから解放され、心に平安が与えられるのです。しかし、実際に人を愛して生きようと実践してみると決して簡単ではないことに気付きます。私たちは遠い人ではなく、家庭の中でも互いの思いが食い違う時には愛する力を弱めることがあります。ですから、隣人を愛することは尚更のことです。しかし、イエス様は私たちが神様を愛し、人を愛して生きる課題についてこう言われました。「わたしの軛は負いやすく、わたしの荷は軽いからである。」なぜ、イエス様はこのように言われるのでしょうか。それはイエス様が柔和で謙遜な方だからです。｢柔和｣とは忍耐強い優しさのことです。｢謙遜｣。これは自分を低く言うこととは違います。人に仕える低さのことです。この謙遜は神の御子であるイエス様は天の栄光を捨ててこの世に来られただけではなく、私たちのために十字架の道を歩まれ、十字架の死に至るまで低くなられ、私たちに仕えてくださいました。この方が私たちを導いてくださるのです。私たちが神様を愛し,人を愛して生きようと実践して失敗しても、イエス様は決して私たちを見捨てず、忍耐強い優しさをもって私たちに期待してくださるのです。イエス様はそのような方法で私たちに安らぎを与えてくださるのです。私たちは人生の重荷を一人で抱え込むのではなく、その重荷を共に背負ってくださるイエス様の元で人生の重荷を下ろし、イエス様から助けを頂きながらイエス様と共に歩むのです。私たちをよく知っておられるイエス様が私たちを導いてくださいます。イエス様の教えに従って生きる時にあなたの心に安らぎが与えられるに違いありません。ラジオ放送を聴いておられる皆さんにキリストによる平安が豊かにありますようにお祈りいたします。