パパスイッチ

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聖書の言葉

だから、あなたが祈るときには、奥まった自分の部屋に入って戸を閉め、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。

新約聖書 マタイによる福音書 6章6節

國安光によるメッセージ

私には二人の娘がいます。上の娘は幼稚園に通っています。娘はいつも喜んで幼稚園に通っていますけれども、時々「もう行きたくない」と泣き出すことがあります。休みが長く続いた後は「幼稚園きらい、行きたくない」と行って、ピクリとも動かなくなります。

親としては、仕方がないので、1日休ませて、次の日から行くようになるだろうからと、「今日は休んで、明日は行こうね」と娘に言います。その時は「うん、そうする」と言うんですけれども、でも次の日になってみるとやっぱり「もう幼稚園行きたくない」となってしまいます。あんまり嫌がるので、無理はさせたらいけないと思いつつも、でもここで休ませたらもうそれが当たり前になってしまうかもしれないし、どうしたものかと頭を抱えました。

きっと幼稚園行ったらいいことあるよ、行って帰ってきたら美味しいお菓子があるよ、公園に行こう、あの手この手を使って呼びかけるも、「どうせパパは幼稚園に行かせたいんでしょ」と言われてしまう始末です。あんまり無理させても、と思い他の幼稚園のパンフレットを取り寄せたりして、園を変える覚悟もしました。でももう少し待ってみようと、あれやこれやと説得しますが、でもやっぱりだめで、もうこちらも疲れてしまって、どうしたもんかな〜と頭を抱えました。

すると、その時に、ふと薬が目に入りました。カプセル錠を包んでいるスイッチのような薬の入れ物を見た時に、これだ!と閃きました。これを使って、パパスイッチを作ろう!カプセルがあったところに、ビーズを入れて、テープでふたをして、ちょっと可愛らしいスイッチを作って、これを押したらパパを呼べる、これを作ろうと思ったんです。

早速パパスイッチを作って、娘に渡しました。「何これ?」「いや、これはパパスイッチだよ。何かあったらスイッチ押してパパ呼んでな」「えっ!?」と不思議そうに娘は見ていました。「ほら、今押してみ」と私が言うと、娘がポチッと押し、「キタキタ!」と私が反応をすると、ケラケラ笑いました。「こうやって押したら、パパにピリピリ来るから押してな、嫌な時は呼んでな」というと、「うん、押す」と娘はそれから少し行く気になってくれました。

それから車で一緒に幼稚園に行ったんですけれども、車の中でも「行きたくない、行きたくない」、「気持ちわかるわ〜、行きたくないわな〜」ととにかく話を聞きながら園に送りました。園に着くと先生が待っていてくれて、娘を迎えに来てくれました。娘は不安そうな顔でしたけれども、「パパスイッチやで!いつでも押してな!」そう言って、ささっとその場を後にしました。

送ってから、大丈夫だったかなと不安になってきました。押したのにパパがこない、泣き出して、園から電話がかかってくるかもしれないなと考えたりもしました。でも結局娘は最後まで幼稚園で過ごして、いつもの園のバスに乗って帰ってきました。どんな顔をしているかなと思ってみたら、ケロッとしていて、「意外といけたわ!」と言う気持ちが伝わってきました。娘に「パパスイッチ押したん?」と聞いたら、「押そうと思ったけど、ちょっとしか押さなかった」「そうやったんか、感じてたで」と言うと、娘はニコッと笑っていました。

それでスイッチを出してみると、実際はぽこっと凹んでいて、しっかりと押してありました。「強く押されてるよ」と言うと、娘は「友達にもパパスイッチを見せたら、その友達も欲しい!って言ったの」と答えました。そのスイッチの凹みは、友達が押したものでした。その友達も寂しくて、スイッチを押したのだそうです。「そうか、友達にもスイッチ作ってあげなくちゃね!」言いますと、娘は、「これは私だけのスイッチだから、あかん」「そうやな」、こうして次の日も娘はパパスイッチを持って幼稚園に行くことができました。

私もパパスイッチが欲しいと思ったりもしますが、よく考えたら私には与えられていました。祈りというパパスイッチです。主イエスは、「奥まった自分の部屋に入って戸を閉め、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい」とおっしゃいました。主イエスは私たちの神様を、私の父、あなたの父と呼んで良い、私たちが呼ぶなら必ず受け止めてくださる、あなた一人だけの場所であなたの父に祈るように、そうおっしゃるんです。

どんな父でしょうか。主イエスは父なる神様に対して「アッバ、父よ」と呼びかけました。私の娘がパパと呼ぶような言い方です。パパは、娘が泣いていたら心配します。しんどいなら、そうだね、と話を聞きます。主イエスは、父なる神様は、そういうパパのような方として、私たちの祈りを聞いてくださるから、信頼して祈って良いのだ、とおっしゃるんです。

仕事や家庭、学校で不安な日々を過ごすことがあります。もう嫌だな、しんどい、と感じて、不安で前が見えないことがあるかもしれません。誰にも言えない不安があったとしても、神様はちゃんと私たちのことを見ていて、見守っていてくださいます。そのことを私たちは祈りというパパスイッチで知ることができます。祈りの中で、いつでもどこでもパパのような神様がいることを感じることができます。パパスイッチを押すようにして、祈りたいと思います。スイッチは押さないと意味がないように、祈りも実際に祈らないと意味がないです。祈り日々が、あなたの人生を平安で満たしてくださいますように。

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