おいしいブドウを作る秘訣

私の長女の名前は、「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である」という主イエスの御言葉から取りました。「はぐ実」、主イエスというぶどうの木につながって、豊かな実をはぐくんでいくようにという願いをこめてつけました。その娘とぶどう狩りに行きました。

娘は目の前に大好きなぶどうがたくさんぶらさがっているのを、次から次へと運んできます。目の前に置かれたぶどうは、お腹に見合わない量です。とにかく一生懸命食べました。どれも美味しくて、個性があって、どれだけ食べても大丈夫なくらいでした。これだけ美味しいぶどうを作るまでには、きっと私の知らないところで農園の方のたくさんの仕事があるのではないかな〜と思いました。

そこで思い切って農園の方に、尋ねてみました。「ここまでたくさんのお仕事があったのではないですか。」すると、「そうですね。一年中、ぶどうを見守ってきました。雨の日も、風の日も、ぶどうが痛まないように手入れをしてきました。台風の時は、本当に大変でした。それでも上手くいく時もあれば、いかないこともあります。」

驚きました。ぶどうを育てるためには、たくさんの時間と丁寧な手入れがなくてはならないんです。美味しいぶどうが実るまでに、年がら年中並々ならぬ苦労を担わなければならない。でもお話をお聞きしながら最も印象的だったのは、その方が本当に嬉しそうに、また誇らしく話されていたことです。ぶどうへの並々ならぬ愛が伝わってきました。

美味しいぶどうをつくる秘訣がここにあると思いました。愛し続けること。収穫が終わってすぐに、ぶどうは葉をもいで、枝を剪定していきます。そうしたら剥き出しの木と枝しか残りません。みすぼらしいその姿の先に、ぶどうの実がなることを信じ、手入れをし続ける。やがて実がなるわけですが、成長途中の房は強風や虫によって痛みます。その度に処置をして、成長できるように助け続ける。こうして愛情を注がれたぶどうは、やがて美味しい実をならせます。

私たちの人生もどこかこのぶどうと似ています。私たちも愛情が必要です。美味しいぶどうの実がならせるには、愛し続けてくる存在が必要です。家族、先生、友人など、身近にいて愛して続けてくれる存在がそうでしょう。しかしそれだけではありません。神さまという本当に、私たちのことを知っていてくださる、農夫の存在が必要です。私たちの人生には、晴れの日も、雨の日も、嵐の日もあります。誰よりも人生をご存じの神さまが、どんな時も、近くにいて、適切な手入れをしながら実を見守っていてくださるんです。神さまの愛に気づきたいんです。

それからもう一つ、主イエスは美味しいぶどうの実に欠かせないものがあると教えてくださっています。「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。」

当たり前と言ったら、当たり前かもしれませんが、枝がしっかりと木につながっていることができるように大切だとおっしゃいます。（木は大地から水を吸い上げます。その水は木と枝がしっかりとつながっていないと行き渡らないです。枯れてしまいます。）

当たり前のことのようですけれども、でもこれも深いな〜と思います。木とのつながり、それも、水を届けてくれる、良い木とのつながりが必要です。命を宿し、命を与える存在とのつながりがなくては、枝は実を結ぶことはできないんです。

主イエスは命の木です。それも永遠の命を宿すぶどうの木であられます。このぶどうの木につながる枝は実を結びます。永遠の命の実であります。死の先にある、天国の命の実、希望の実であり、神さまの愛の実です。宝石のような実です。私たちはこれまで牧師として、たくさんの方々との出会いを教会で与えられてきました。素晴らしい実を結んでおられる方がおられます。最初は枝だけだったのに、素晴らしい実を結ばせた方もおられます。

農夫である神さまは、私たちひとりひとりを愛して、よき実を結ぶように手入れをなさいます。教会というぶどう農園において、神さまが年がら年中ぶどうの手入れをなさるのです。また教会の中心には、ぶどうの木であられる主イエスがおられ、つながっていてくださって、毎週毎週礼拝の中で、実を結ばせる永遠の命の水を届けてくださるんです。

もし私たちが実を結ばないとするなら、木の問題ではありません。枝の問題です。主イエスというぶどうの木につながっているでしょうか。もしつながっているなら、よりしっかりと主イエスにつながり続けましょう。もしつながっていないなら、教会に行きましょう。どんな人でも、どんな時でも、農夫である神さまがあなたを待っておられます。主イエスはあなたとのつながりを待っていてくださいます。どうかあなたの人生に、美味しいぶどうの実りがなりますように。