デザートが先!

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聖書の言葉

初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。

新約聖書 ヨハネによる福音書 1章1~5節

吉田隆によるメッセージ

今年もまたクリスマスのシーズンですね。牧師も走る「師走」の真只中です。でも、やはりこの季節はただ慌ただしく走り抜けてはいけない。しばしとどまって、ゆっくり思い巡らしたい。クリスマスという、とてつもなく大きな、しかしどこまでも静かな、神様がなしてくださった出来事を、深くそして豊かに思い巡らしたいと思います。

今日の聖書の言葉をお読みします。新約聖書のヨハネによる福音書1章1-5節です。「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は言によって成った…。言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった」。ちょっと長いですが、とても有名な文章なので、読んでみました。皆さんも一度はどこかでお聞きになったり目にされたことがあるのではないでしょうか。ヨハネによる福音書という書物は、このような大変印象的な始まりかたをする福音書なのです。

話はかわりますが、先日、ある先生と一緒にファミレスに行ってお食事をしました。私はあまり外食をしないのですが、お客様でしたのでお連れしました。お客様なのにファミレスか、と突っ込まないでくださいね。その先生がファミレスがいいとおっしゃったのです。なぜかと言うと、その先生は、ファミレスなどでよく出てくるデザートがお好きだったからなんですね。で、メニューを眺めながらハンバーグのセットと、そしてお目当てのデザート(チョコパフェ)を注文されました。ここまでは、へぇ~で終わりますよね。ところが、注文をする時に、その先生は「デザートを先にお願いします!」とおっしゃったのです。「えっ?」と耳を疑いました。チョコパフェをまず最初に食べる。それから料理。これにはビックリしました。こういう人を初めて見ました。「なんで最初にデザートなんですか?」と思わず尋ねてしまいました。すると先生の説明では、まず自分の一番好きなものを食べたい。そうして満足してから、お腹を満たす。いや、たとい途中でお腹がいっぱいになって、料理を残したとしても悔いはない。一番好きな物を食べているんだからと。なるほど、と納得しました。まずはデザートを心置きなく味わって、満足して、心充たされてから余裕をもって料理をいただく。これはこれで理に適っていると、いたく感心した次第です。

実は、このヨハネによる福音書という福音書は、まさに一番おいしい所と申しましょうか、聖書の数ある教えの中でもデザート中のデザートとも言えることを、まず最初に書いてしまうのです。そうして、読者にそのデザートを心行くまで味わってもらった後で、一息ついて、お料理が出てくる。そんな作りになっている福音書なのです。

では、その最初に出てくるデザートとは何でしょうか。それが初めにお読みした文章です。「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」。とっても印象的な、まさに味わい深い文章ですね。ここに出てくる「言」とは、実はキリストのことなのです。キリストは永遠からおられた神であられた。この永遠からおられたキリストが人となったという出来事が、クリスマスの出来事なのですね。それはさておき、なぜキリストのことを「言」と表現するのでしょうか。それは、「言」にはその人の意志があり、力が込められているからです。ヨハネ福音書がこれから詳しく記して行くイエス・キリストの言葉には、神の心、そして力が込められているからなのですね。

「万物は言によって成った…。言の内に命があった。命は人間を照らす光であった」と続いています。言であるキリストは神様ですから、万物はキリストによって造られた。で、キリストの「言」によって造られたのですから、すべてのものには、キリストの思いが、心が反映されている。それだけではない。生きとし生ける物すべては、このキリストの命に活かされている。そして、その「言」は、人を照らす光だと言われます。ただの命だけではない。人に光を与える命だと。なぜか。キリストの「言」、キリストの心は、私たちへの愛の「言」だからです。私たちを一人残らず愛してくださる神の心が詰まっているからです。これはなんとすばらしい教えでしょうか。自然がなぜ美しいのか、それはキリストの心が映し出されているからです。キリストの「言」はなぜ、2000年もの間、人の心をとらえて離さないのか。それは神の愛の心が詰まっているからです。もうこれを聞いただけで、そしてこれを信じるだけで、世界を見る眼が変わっては来ないでしょうか。私たちの人生に光が差し込んでは来ないでしょうか。

「光は暗闇の中で輝いている」。そうですね。世の中は、本当に真っ暗闇です。美しい自然も目に入らず、生きて行く光さえ見出せないまま、まるで暗闇の中を歩んでいるような生活を送っておられる方もあるいはいらっしゃるでしょうか。この年のクリスマス、是非、教会に行ってみませんか。そこで語られるキリストの命の「言」に耳を傾けてみませんか。教会では、惜しげもなく、とっておきのデザートのような言葉が語られるに違いないと思います。それを是非まずは心行くまで味わってみてください。では、また。

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