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聖書の言葉

だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。

新約聖書 マタイによる福音書 6章34節

吉田実によるメッセージ

前回私がお話をさせていただきました時に「右目の手術を受けるために入院することになりました」というお話をさせていただきましたけれども、おかげさまで無事に手術を終えまして、大変良く見えるようになりました。心から感謝しています。そしてラジオをお聞きの皆様から複数の励ましのお手紙やお葉書をいただきまして、とっても感激いたしました。本当にありがとうございました。

私にとりましては初めての入院、手術でしたけれども、大変貴重な経験をさせていただきました。右目の網膜の前に出来た膜を取り除くという手術を受けたのですけれども、手術中、外側は見えないのに目の中が見えるという、大変不思議な体験をいたしました。人間の体というものは実に精巧にできていて、微妙なバランスを保ちながら生かされているのだということを改めて感じました。そして手術後の回復のために一週間入院をしたのですが、この一週間は私にとりまして大変有意義な一週間でした。

当たり前ですが、入院中は教会の固定電話は鳴りませんし、パソコンもありません。そして私はいまだにガラケーですので、インターネットもつながりません。テレビはありましたけれども、せっかくの機会ですのでニュースを少し見るだけにしまして、もっぱら診察と、食事と、睡眠以外の時間は、聖書を読んで祈ること。そして講演会の準備のために持っていきました数冊の本を、目が疲れない範囲でゆっくり読んで、ゆっくり考える。そして思いついたことをゆっくりと書く、ということに費やしました。それは私にとりまして本当に豊かな時となりました。

毎日色んな集会や委員会や行事に追われながら、日曜礼拝に備えるという日々を送っていますけれども、その一つ一つのことはどれも本当に大切なことなのですが、いつの間にか予定に追われて先を急ぐあまりに、今行っている事が雑になる、ということがあったのかもしれません。よくありますことは、急いで書いた自分のメモの字が汚すぎて、後で読み返そうとしても何が書いてあるのかさっぱりわからないということです。それは本当に不毛なことだと我ながらあきれますけれども、入院中に書きました文字は、よくわかるのです。ゆっくり本を読んで、ゆっくり考えて、感じたことをまるで小学生の時の「書き方」のように丁寧に、一文字一文字書きましたメモは、読みやすいばかりか自分の考えを深めるためにとても役に立ったと思いますし、全く急いでいないのに、結果的に後で気付けば、普段でもできないほどの質と量の作業を入院中に行うことが出来ました。この体験は、ただ「急がば回れ」ということに気付いた、というようなことではない、「豊かさ」ということの本質に触れるような貴重な体験であったと感じています。

初めにお読みいたしましたように、イエス・キリストは有名な「山上の説教」の中でこう教えてくださいました。「だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」これは決してお気楽なその日暮らしを勧める言葉ではありません。当たり前のことですが、私たちが生きることが出来るのは常に「今日」という日の「今」という時しかありません。タイムマシンに乗って過去や未来に行くことは出来ないのです。そしてその「今日」という日の「今」という時が、もしも将来に対する心配事や思い煩いにとらわれてしまうなら、私たちは生き生きと「今日」を生きることが出来ません。そして「今日」という日を生き生きと生きることが出来ないなら、そんな「今日」の連続線上にやって来る「明日」も、生気のないものとならざるを得ないのです。

イエス様は「空の鳥」や「野の花」を見なさい、とおっしゃいました。「種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に収めもしない」空の鳥を養って下さり、「働きもせず、紡ぎもしない」野の花を、ソロモン王様以上に美しく装ってくださる天の父なる神様は、私たちに何が必要かすべてご存じです。そして私たち人間を、「空の鳥」や「野の花」よりもはるかに深く愛してくださっています。この神様との信頼関係がきちんと整っているなら、私たちは将来について何も思い悩む必要はないのです。「ああなったらどうしよう、こうなったらどうしよう」と、心配しても仕方ないことに時間とエネルギーを無駄遣いするのではなくて、先のことはすべて神様に委ねて、今やるべきことに丁寧に集中することが出来るのです。そのようにして「今」という時を神様との関係で確かな時とするなら、その連続線上に来る「明日」も、きっと確かなものとなるに違いありません。

私は入院の体験を通して改めてこのことを教えられ、本当に感謝しています。けれども、別に入院をしなくても、この確かな生き方の秘訣を手に入れることが出来ます。今日は日曜日。是非お近くの教会に足をお運びください。そこから本当に確かで豊かな「今日」という日が、あなたにもきっと始まります。

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