父親の眼差し

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聖書の言葉

ちょうど母親がその子供を大事に育てるように、わたしたちはあなたがたをいとおしく思っていたので、神の福音を伝えるばかりでなく、自分の命さえ喜んで与えたいと願ったほどです。あなたがたはわたしたちにとって愛する者となったからです。

新約聖書 テサロニケの信徒への手紙一 2章7~8節

山中恵一によるメッセージ

私の放送回では、父親の眼差し、というシリーズで、子育てパパの目線で感じ取った聖書のお話をさせてもらっています。11月の放送時に、うちの息子が、魔の2歳と言われる時期に突入した、ということをお話ししました。2カ月たった今も、元気に反抗期の真っ最中です。

子供には子供の都合があって反抗期をやっているんだと思いますが、親は親の都合で、子供にちゃんと良いこと悪いことを伝えなくちゃあなりません。毎日、夫婦そろって悪戦苦闘の毎日が続いています。息子の中では、なんでもかんでもぶん投げることが流行っています。やわらかいものはイイんですが、固いオモチャなんかは注意が必要です。そして、なぜか、その投げられたブロックは妻の方へと飛んでいくんですね。すると、彼女は、腹立たしい気持ちと葛藤しながらも、大体の時は、「これを投げるのは、あぶないんだよ?ダメなんだよ」と、言って優しく言い聞かせます。すると息子は、「ダメ~」と残念そうな声を漏らして、しばらく静かにしてくれたり、あるいは、泣いて抗議したりするんですね。最近、やけに口うるさくなった、と感じてるかもしれないですが、仕方ありません。彼は、面白くないかもしれません。でもこれで、親子の絆が断ち切られてしまうわけじゃないんですね。ちゃんと言う事は言いながら、子供への愛を伝えることに注意して、そうやって、息子の成長に寄り添おうと、がんばっています。本当に、子供の時期というのは特別ですね。大の大人を2人も振り回して、親の愛を集中的に受け取りながら、反抗期兼、成長期を彼は過ごしています。そんなことを思いつつ、教会というところもまた、愛を集中的に受け取る特別な時間を過ごす場所なんだ、ということをみなさんにお伝えしたいと思いました。

先に読んだ聖書の箇所は、使徒パウロが、教会の人々に注いできた自分の愛について語っているところです。パウロという人は、「わたしのようになりなさい」と言って、教える先生でした。だから、教会は、パウロが教会を愛したように、自分達も教会に集まる人たちを愛そう、と、目指すんですね。今日の聖書箇所では、こんなことが言われていました。「ちょうど母親がその子供を大事に育てるように、わたしたちはあなたがたを愛おしく思っていた。」教会という所は、集まる人を育てようとする場所なんですね。そして、教会では、母親が子供を育てるように、なんでもかんでも、それでイイよ、とは言いません。ダメな所はダメ、というんですね。子供を心底いとおしく思うからこそ、子供の未来を見据えて、子供に良いこと悪いことを何とかして伝えようとする。そんな母親と同じです。教会では、色々なメッセージが語られます。そして、そこで、聞くメッセージが、褒めちぎられる内容だろうが、注意を受ける内容だろうが、教会は、「母親が子を思うように、教会に来られる方を慕っている」んですね。

そして、この熱い思いは、口先だけ、とか、心の中で思うだけ、といったものではありません。続きの箇所ではこう言われていました。「神の福音を伝えるばかりでなく、自分の命さえ喜んで与えたいと願った」母親が子供に向ける愛は、口先だけでありません。やりたいことを堪えて、体力や時間、まさに自分の人生のすべてをささげるようにして子供を大切にします。したわしい人のために喜んで命をかける。教会と言うところは、そんな愛を目指しているんですね。

みなさんは、誰かから真剣に自分の事を思ってもらえていますか?愛される、ということは、人間にとって欠かすことのできない、大切なことです。愛されることを知らずに育つ子供がいたならば、わたしたちは「可哀そう」と思いますよね?これは、子供に限ったことではありません。大人だって、愛される時間や愛される場所なしに、人生を進んでいくのだとしたら、これは「可哀そう」な人生です。教会には、みなさんを愛する愛があります。それも、口先だけではない愛。あなたが、神様を知り、その救いのもとで生きるためならば、自分達の犠牲を厭わない、教会はそういう愛を目指しています。それが、どれくらい実現できているか、程度には差がありますが、どんな教会であれ、聖書の言葉に従おうとする教会には、かならず、あなたを母親のように包みこもとする愛があります。聖書の神様は父なる神と呼ばれますが、教会をとおして、母親の様な愛によって、あなたを慕い、時に優しく、時に厳しく、あなたのことを真剣におぼえて、あなたを大事に育ててくださいます。ぜひ、お近くの教会で、その愛にふれて頂きたいと思います。そして、ラジオを聞かれている方のなかには、すでに教会に通われている方も多いと思います。今日、あなたの教会に母親のような愛を求めて、来られる方がいらっしゃるかもしれません。ぜひ、パウロの語る母親のような愛をもって、来られる方を包み込んで頂きたいと思います。

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