世代を越えて受け継ぐもの

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聖書の言葉

そして、あなたが抱いている純真な信仰を思い起こしています。その信仰は、まずあなたの祖母ロイスと母エウニケに宿りましたが、それがあなたにも宿っていると、わたしは確信しています。

新約聖書 テモテへの手紙二 1章5節

吉田隆によるメッセージ

今朝の聖書の言葉をお読みします。テモテへの手紙二1章5節です。これは、パウロと言う人が弟子のテモテに向かって書いている文章ですが、こうあります。わたしは「あなたが抱いている純真な信仰を思い起こしています。その信仰は、まずあなたの祖母ロイスと母エウニケに宿りましたが、それがあなたにも宿っていると、わたしは確信します」。

日曜日の朝から野球の話でなんですが、私がおります教会は、阪神甲子園駅の近くにありますので、本当に甲子園球場のすぐ近くなのです。そんなことから、年に何回かですが、タイガースファンのクリスチャンの方が、全国いろいろな所から私共の教会にいらして日曜日の朝の礼拝にお出になることがあります。午後からの試合を見に来られたのですが、まずは日曜日の朝の礼拝を守って神様を礼拝して、それから縦じまのユニホームに着替えまして、試合に行ってタイガースを応援すると。こんな感じです。

もちろん、教会はすべての方々を歓迎しますから、私共の教会でもタイガースファンだけでなく、ジャイアンツファンの方にいらしていただいても一向にかまわないのです。教会は互いに赦し合い、愛し合う場所ですので、敵味方を超えて、心を一つにできるということは、本当にすばらしいことだと思います。もっとも試合の前の話でありますが…。

冗談はさておき、そのようなわけで、私共の教会には言うまでもなく虎ファンがたくさんいますし、私もこれまで何度も試合を見に行きましたが、タイガースファンを見ていて感心することがいくつかあるのです。他のチームのことはあまりわからないものですから、今日は、タイガースの話でおゆるしください。

まず感心する一つのことは、タイガースファンはどんなに負け続けていても、万年最下位でもチームや選手たちを愛し続けるということです。まるで家族のように思っていて、散々、選手たちをこき降ろしてメチャクチャ悪口を言うこともあるのですが、それは自分の子どもに言っているような感じなんですね。選手たちを愛しているのですね。そのかわり同じことを他の人から言われると癪にさわると。そんなことがあります。

そうした家族愛とでも言うのでしょうか、それと関係があるかもしれませんが、私がこちらに来て驚いたのは、甲子園球場に、おじいちゃんやおばあちゃんたちが、お孫さんの手を引いてなのか、お孫さんに手を引かれてなのかわかりませんが、親子3代、場合によっては4代で応援に来てらっしゃるということです。しかも、お年寄りがよく選手やチームのことを知っているものですから、子どもたちにいろいろとうんちくを傾けて話をしている。これは、見ていて本当に微笑ましい、そしてすごいことだなあと、いつも感心しながら思うです。

きっと子供や孫が生まれると、小さいうちから球場に連れて行ったり、タイガースグッズを買ってあげたり、毎日、必ず一度は試合や選手の話をしたり、そうやってタイガースファンの伝統継承というのが出来て行くのでしょうね。

今のような時代、親子の対話が無いとか、世代の分裂とかいろいろ言われている時代に、こんなふうに世代を超えて、一緒に喜びや楽しみを共にする、話題を共有できるというのは、本当に大切なことだなあ、貴重なことだなあとつくづく思うのです。

野球だけでも、これだけすばらしい人間のつながりができるわけですから、もし人間が生きて行く上で一番大切だと思う、もっともっと心の奥深いところを、夫婦や家族みんなが共有できたなら、さらには世代を超えて3代4代と共有できたなら、どんなにすばらしいことか、どんなに幸せなことかと思わずにはおれないのです。

今日、お読みしました聖書の言葉ですが、パウロはテモテという自分のお弟子さんに対して、「あなたが抱いている純真な信仰」は、もともとお婆さん、そしてお母さん、そうやって受け継がれてきた信仰なのだと言っているのです。きっと、このテモテという人は、小さいうちから教会に連れて行ってもらって、聖書だとか教会グッズみたいなものを買ってもらったり、毎日、聖書や教会の話をしてもらったりしながら、育てられてきたのでしょうね。もちろん、信仰というのは心の問題ですから、テモテはテモテで、大きくなった時に、自分の心で、僕もおばあちゃんやお母さんが信じているイエス様を信じようと、こう自分で決めたのだと思うのです。けれども、やはり、子どもは親の背中を見て育つものだと思います。自分の親が何を一番大切にしているか、それを自然に感じ取って行くのだと思います。

その時に大切なことは、それが喜びであると言う点ですね。楽しいことや心に喜びを与えるものであればこそ、子どもたちはそれを受け継いでいくのだと思います。イエス・キリストを信じることは、たとい様々に困難な現実があったとしても、なお人間に深い深い喜びと平安を与えるものです。このイエス様を信じる心というのは、敵味方を超えて、一つの家族のようなつながりを世界につくって行きます。信じ合う心、愛し合う心、そのようなつながりが世代を超えて、国境を超えて与えられたとしたら、なんとすばらしいことでしょうか。

日曜日の朝、今日もまずそのような神様に心を向けるために、教会の礼拝へとまいりましょう。野球の試合を見に行きたい方は、その後で、どうぞ楽しんできてください。

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