あなたを助ける人

この朝、聖書の言葉からご一緒に教えられたいと思います。地震などの突然の自然災害、また世界で繰り返されているテロ、私たちは多くの危険や困難に向き合わされながら生きています。熊本地震で避難所での生活をされていたある方が、避難所の様子についてこう言われていました。そこは、全てが丸裸にされる場所だと言われていたのです。そこでは、怒って周りに怒鳴り散らす人、また一方では静かに耐えておられるような様子の人、さまざまな人がそこにいたというのです。その話を聞いて、避難所の現実を知らされたように思いました。本当に普段は分からないその人の姿が、この場所では浮き彫りにされる、そのように避難所生活のことが語られていたのです。

私たちは、自分自身が丸裸にされる時、どうでしょうか。自分はしっかりと生きることができる、とてもそう言うことのできる者ではないと思います。多くの欠点があります。自分が決して完全な者ではない、ということを知らされることがあります。そして、自分が何かの助けを必要としている者であるということ、そのことを知らされると思うのです。

では、私たちにとっての本当の助け、とは一体何でしょうか。家族の助けとか、周りの人たちからの助け、これはもちろん必要なものです。周りの人たちの支えがなければ、私たちは生きていくことはできません。けれども、周りからの助けというのも、それは完全なものではありません。家族の助けということを考えてみても、それは必要ですけれども、もろさのあるものです。親が子供を愛することができない、また、子供が親を愛することができない、そういうこともあります。問題を抱えていない家族は、一つもありません。むしろ、家族そのものが助けを必要としている、そのようにも言えるのです。

聖書は、私たちの人生を完全に助けてくださる方について教えています。この方は、御自身が助けを必要とする方ではありません。そういう必要の無いお方、その方を神は私たちのために与えてくださいました。それがイエス・キリストです。私たちを助けてくださる方です。聖書は、このイエス・キリストについて私たちに教えています。

この方は、あなたが今助けを求めるなら、見出すことのできるお方です。キリストは私たちから遠くに離れておられる方ではありません。近くにおられるお方です。そして、私たちを助け導く方です。

最初に聖書を一箇所お読みしました。そこには、イエス・キリストがどのように私たちを助けてくださったのかが書かれています。あるところに、強盗に襲われて、半殺しにされた人が道端に転がされていました。誰かの助けを必要としている人です。その同じ道を何人かの人が通りかかりました。でも、誰も助けることはしません。通りかかった人は、半殺しにされた人を見るのですけれども、その人を見ると、道の向こう側を通り過ぎて行ってしまいました。

何で、この傷だらけの人を見たのに、この人たちは通り過ぎてしまうのでしょうか。何でこの半殺しにされた人を助けることができないのでしょうか。それは、傷だらけの人を見た時、もうこの人は自分にはどうすることもできない、そう思ったからです。強盗に物を奪われて、殴られ半殺しにされて、これ以上なくボロボロである人を見た時に、この人はもう自分の手には負えない、そう思って近づくこともできなかったのだと思います。もし自分が助けることのできる人がそこに置かれていたなら、ひょっとするとその人を助けたかもしれません。でも、この道を通りかかった人たちがもうどうすることもできないほど、この人はボロボロだったのです。

しかし、そこをある一人の人が通りかかりました。この人はその傷だらけの人を見ると、憐れに思ったと聖書に書かれています。憐れに思ったということは、ただかわいそうに思った、という程度のことではありません。共に痛みを覚えた、共に苦しんだ、ということです。この道を通りかかった一人の人は、傷だらけの人と一緒に痛みを覚えたのです。そして、この人はこの傷だらけの人に近寄って行きます。傷口に油を塗り、包帯をして、自分のろばに乗せて、その人を宿屋に連れて行って介抱しました。

誰も助けることのできなかった人、また誰も近寄ることもできなかった人、そのような人をも、憐れんで、近づいて、その人に触れる。このようなことをなさるのは、聖書が伝え得ているイエス・キリストただお一人です。この方だけが、本当に私たちに手を差し伸べてくださるお方、また私たちの生涯を助けてくださるお方なのです。イエスは、この世のどのような人にも勝ってそういう方です。

私たちは、強盗に襲われて半殺しにされたような者です。自分たちが丸裸にされた時、私たちは本当に惨めです。自分自身の醜い姿や思い、行動が露わにされます。私という人間は、本当の助けを必要としている、そのような私です。

あなたの生涯を助けてくださるイエス・キリストに出会うため、どうぞ教会においでください。