わたしは神、ほかにはいない

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聖書の言葉

地の果てのすべての人々よ、わたしを仰いで、救いを得よ。わたしは神、ほかにはいない。

旧約聖書 イザヤ書 45章22節

宮﨑契一によるメッセージ

今朝も聖書の言葉から、ご一緒に考えてみたいと思います。私たちは誰でも、自分一人だけでは生きていくことができないのだと思います。特に家族や大切な知人、友人、そういう人たちと一緒に私たちは生きています。もちろん、こういった一人一人は私たちにとってかけがえのない大切な人たちです。ただ、聖書が私たち一人一人に教えていることは、何よりも神という方が私と共に生きてくださるという現実です。

「わたしは神、ほかにはいない」。聖書で、神はそのように語り掛けておられます。わたしは神、ほかにはいない。つまり、わたしはあなたにとって唯一の者だ、そう神は語っておられるのです。ほかにはいない、というお方、唯一であるお方。これは私たちの家族や友人も超える存在、と言えるものです。この唯一のお方、ほかにはいない、というお方はどのような方なのでしょうか。

ある一人の牧師が、聖書の福音について、このように言いました。福音というのは、私たちへの神様の救いのことです。良い知らせ、うれしい便り、福音はそういうことを意味します。その一人の牧師は、福音についてこう言いました。「絶望にひんしている人が、どこからか救いは来ないか、と待ち望んでいるところに、君は救われたぞ、という知らせが来る、それが福音ということなのであります。死刑囚に対して、赦免の知らせが来る、それが救いなのであります。」

福音とはこういうものだとその牧師は言いました。絶望に瀕している人がいる。これは自分自身に絶望をしているということです。絶望に瀕していますから、どこからか救いは来ないだろうかと、それを切望しています。そこに、君は救われたぞ、という知らせが届く。それが福音だと言うのです。あるいは、死刑囚のことも言われます。死刑囚はただ自分の死を待つだけの者です。でも、そのただ死を待つばかりの者に突然赦免の知らせがもたらされた、これが福音だと言われます。聖書の神は、そのように私たち一人一人に関わってくださる方です。

もちろん、ラジオを聞いておられるほとんどの方が、実際に死刑囚であるのではないと思います。ただ、聖書が語っているのは、私たちは神の前ではどういう者なのか。それは望みのない者だ、絶望的な罪人だ、ということです。神の前には、死ぬべき者、死刑囚、と言っても良いような者なのです。聖書は、こういう人間の存在について語っています。

アンパンマンの原作者で、やなせたかせしさんという方がおられます。少し前に亡くなられました。このラジオ関西の近くにも、アンパンマンミュージアムという場所がありまして、いつも多くの家族連れで賑わっています。このやなせさんが、「希望」という詩を書いておられます。このような詩です。

絶望のとなりに

だれかが

そっと腰かけた

絶望は

となりのひとに聞いた

「あなたはいったい誰ですか」

となりのひとはほほえんだ

「私の名前は希望です」

こういう詩です。この詩には、絶望、という人が出てきます。やなせさんの絵を見ますと、この絶望は手で顔を覆って、ただうつむいています。顔を上げようとはしません。しかし、その絶望のとなりに、だれかがそっと腰かけた。それが希望だと言うのです。絶望にとって、一番必要なものは何でしょうか。それは希望です。それ以外にはありません。希望は絶望の隣に座ると言われるのです。「あなたはいったい誰ですか」、「私の名前は希望です」こう言われています。

このやなせさんの詩は、聖書の福音を良く伝えているものだと思います。聖書の福音が私たちに伝えていることは、あなたが絶望を覚える時も、その傍らに希望があるということです。その希望を聖書は示しています。この詩の中に出てくる希望は、イエス・キリストそのものの姿を示していると言えるものです。キリストは、いつも、望みを持っていない人たち、苦しみや試練の中にある人たち、そういう人たちのところに来られます。そして、その人の隣に腰掛けて、その人を憐れみ、その人に触れて、救いをお与えになります。まさに、希望そのものと言えるのがイエス・キリストです。

ラジオを聞いておられるあなたが、毎日の生活の中で、その傍らにおられるお方、希望であるイエス・キリストのことを覚えていただければと願っています。キリストは、私たちの具体的な毎日の生活の中で、その傍らにいてくださる方です。だから、あなたが求めれば、この方は与えられます。

私たちの周りには、大切な家族や友人がいるでしょう。しかし、何よりもあなたの横に腰掛けてほほえんでいる方がおられる。それが、イエス・キリストです。そして、この方こそ、私たちにとって唯一の方、と言える人です。他にはいない、と言える人です。イエス・キリストは今、ラジオを聞いておられるお一人お一人にこう語り掛けておられます。「地の果てのすべての人々よ、わたしを仰いで、救いを得よ。」

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