死から命へ

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聖書の言葉

「はっきり言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをお遣わしになった方を信じる者は、永遠の命を得、また、裁かれることなく、死から命へ移っている。」

新約聖書 ヨハネによる福音書 5章24節

城下忠司によるメッセージ

私はラジオ放送の事業に携わってから20年が過ぎて、昨年病気になってから引退しました。でも、まだ病気から守られているので、こうして、皆さんにお話ができることを、とても幸いと思っております。ご存じのように、今は、二人にひとりは、癌に罹って死ぬ時代になっています。ですから、私が癌になっても別に不思議ではありません。実は私の場合、偶然に肺癌がみつかり、地域の専門の病院に行って医師から次のように告知されました。「こんなに進行していたら、もう治りません。手術はできません。放射線も駄目です。抗がん剤の治療をしましょう。」かつては癌の告知の問題が医師の間でも議論され、大きく取り上げられこともあり、告知はタブ一という思いがありましたので、いやあ驚きました。一年が過ぎた頃、医師から「城下さんよかったですね、診断では半年か一年しか持ちませんと家族には申し上げていたところですが、一年半になって良かったですね。」と言われ、またまた、驚いたことです。ですから、この一年半は死と隣りあわせで生きてきたことになります。そしてこのことは、これからも続くわけです。

死は自分で経験することができないものだけに、誰にとっても大変な問題です。わたしは自分が死ぬという現実に直面している中で、人生の最期を迎えているのに、それは、この世のすべての営みからの別離であるのに、その備えをどうするかを問われています。そういうわけで、わたしはこの死というものをどのように考えてきたか、また、死とはいったいどういう意味があるのかという問題を、今、しっかりと考え、理解するという時が与えられていると思っています。

死はこの世の営みのすべてから別れることです。それは肉体的でありますが、霊的なものであります。見える形のこの世からの別離、と同時に霊、心もまた、この世から離れることを意味します。死が見える形でのこの世からの別離である、と同時に肉親や友人知人との心の別れであることを強く意識します。聖書は死を「最後の敵」であるとも言っています。ですから誰でも、死は恐ろしいものです。死を受け止め、死に向かって、どのように生きるか。また、死後どうなるのか、わたしは不安を覚えながらも死を納得したいと思っております。テレビ番組や映画の中では死があまりにも簡単に実行されるので、死は日常生活からは遠い存在となっていると感じます。劇化された死は現実の死

ではなくなっています。昔は誕生と死は家庭においての日常の中で大きな存在でした。今は病院における死が90パーセントであることを見ても、死を現実から遠いものにしています。

時代は物質的には豊かになりましたが、人々の心は逆に貧しくなっています。今は心の時代だとも言われていますが、人々はこの世での物質的な幸いをのみ追い求めています。人間にとって本当の豊かさと言うものは何かを考えてみますと、心が満たされている、そして、心に平安がなければ人は本当の幸せになることはできないのではないでしょうか。昨年、わたしの病気を心配して、信仰の友から素晴らしい本を頂きました。『癌を抱えて生きるセラピー』という小冊子です。こんな一節があります。「生活が変っても力になるのは、何とかして、できるだけ『普通』の生活を続けようとすることです。日課となっていることは、できるかぎり続けましょう。ずっと楽しんで続けてきたことをやめてはなりません。」このとおりに生きることができればいいなと、つくづく思ったことです。

今日の聖書の言葉は、「はっきり言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをお遣わしなった方を信じる者は、永遠の命を得、また裁かれることなく、死から命へ移っている」。この御言葉は、御子イエス・キリストが父である神さまから遣わされてこの世に来てくださり、私たち罪人を死から命に救ってくださったことを語ります。私たちが霊的な死から永遠の命へと、もう既に決定的に移されていることを教えています。神さまが私たちを死から命のもとへと引き上げてくださり、最後の裁きから救い出してくださることを約束してくださっています。私はイエスさまが父なる神さまのもとを離れてこの世界に来てくださったことを信じることができる幸いを覚えることができ感謝しています。イエスさまからの手紙である聖書が私に語りかけてくれるものの総てが、今、死を具体的に意識しているわたしに、死の意味を魂に届けてくれていることを覚えます。そして死への備えは神さまの口から出る一つ一つの言葉からでてきます。

今、私は詩編63編にあるダビデの祈りを自分の祈りとしたいと願っています。

「神よ、あなたはわたしの神。

わたしはあなたを捜し求め、

わたしの魂はあなたを渇き求めます。

(中略)

あなたの慈しみは命にもまさる恵み。

わたしの唇はあなたをほめたたえます。

命のある限り、あなたをたたえ、

手を高く上げ、御名によって祈ります。

わたしの魂は満ち足りました。

乳と髄のもてなしを受けたように。

わたしの唇はよろこびの歌をうたい、

わたしの口は賛美の声をあげます。

床につくときも御名を唱え、

あなたへの祈りを口ずさんで夜を過ごします。

あなたは必ずわたしを助けてくださいます。

あなたの翼の陰でわたしは喜び歌います。

わたしの魂はあなたに付き従い

あなたは右の御手でわたしを支えてくださいます。」

私は今、毎週教会に行って、神さまの言葉を聞くことができますことを心から感謝しています。

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