子どもが世界一幸せな国

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聖書の言葉

イエスは乳飲み子たちを呼び寄せて言われた。「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。はっきり言っておく。子供のように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」

新約聖書 ルカによる福音書 18章16~17節

石原知弘によるメッセージ

2013年までオランダという国に暮らしていました。妻と二人の娘も一緒でしたので、子供たちはオランダの小学校に通うことになりました。言葉も通じない学校に果たして慣れることができるだろうかという心配はありましたが、結果的には、長女も次女も、本当に楽しい学校生活を送ることができました。

実は、近年のユニセフの調査で、オランダは子供の幸福度が世界一とのことです。我が家の子供たちもその恵みにあずかることができたのかなと感謝しています。もちろん、そもそも幸せというものに順位を付けることができるのかどうかは疑問もあるところですが、しかし、世界一かどうかはともかくとしても、オランダの子供たちが本当に幸せそうに過ごしているということは、様々な場面で感じました。子供たち一人ひとりに合わせた個別教育がしっかりと行われる小学校もそうですが、家庭で子供と一緒に過ごす時間を大切にする大人たちのライフスタイルというものも大きく関係していると思いました。

そして、そうしたすべてのことの土台には、子供たち一人ひとりをしっかりと受け入れるということがあるように思います。大人の考えや都合に子供を合わせようとするのではなく、子供たち一人ひとりをそのまま受け入れ、そして子供たちと一緒に歩んでいこうとする、そうした姿勢が、子供たちの幸せにつながっているのではないかと思わされました。

子供を受け入れるというと、聖書の中に、イエスさまがまさに子供たちを受け入れてくださる場面があります。先ほどお読みした聖書の箇所ですが、イエスさまのもとに集まってきた人たちの中に、乳飲み子まで連れて来た人たちがいたのです。

最初、イエスさまの周りにいた弟子たちは、それを見て叱りました。特に悪気はなかったのかもしれません。イエスさまは病気の人を癒したり、また大人の人たちに教えを語ったりしておられましたから、話の通じない赤ちゃんや子供の相手までイエスさまにさせるわけにはいかないと思ったのでしょう。しかし、いずれにしても弟子たちは、自分たちの考えや都合で子供を遠ざけようとしたのでした。

それに対して、イエスさまは、子供たちを連れて来るように言われました。そして、神の国は、むしろこのような子供たちのものであると言われて、何もできない子供たちをそのまま受け入れてくださったのでした。

ここには、イエスさまが子供たちと一緒にいてくださる、まさに幸せというものがあふれています。そして、この場面をあらためて読みながら私が思うことは、子供たちには、孤独ではないというメッセージを伝えることがいかに大事かということです。イエスさまは子供たちを受け入れてくださいました。そのようにして、子供たちは孤独ではないということを、身をもって伝えてくださったわけです。このことは、子供たちにとって一番大事なことではないかと思うのです。

聖書では、このイエスさまと子供たちの話のすぐ後で、一人の金持ちの男の話が出てきます。この人は、子供の時から律法の掟をすべて守ってきたという、とても真面目な人だったのですが、イエスさまから、それでは持っているものをすべて売り払って、貧しい人たちを助けてあげなさいと言われると、大変悲しんでしまいました。とてもお金持ちの人だったからです。

神の掟ならば子供のときからすべて守ってきたという、この人の言葉を聞くとき、少し傲慢な人だなという感じもすると思いますが、私はむしろ、何か孤独のようなものを感じます。この人の言葉自体は、決してうそではなかったのだろうと思います。その意味で、子供の頃から真面目に生きてきたのでしょう。しかし、どこか孤独というものを感じるのです。そして、この人は、子供のとき、親や大人の人たちにしっかりと受け入れてもらうということを経験してきただろうか、何より、神さまに受け入れてもらうということを経験してきただろうかと、そんなふうに思うのです。掟を学び、掟を守ることはもちろん大切です。しかし、子供にとってまず大切なことは、しっかりと受け入れてもらうということ、孤独ではないということを、身をもって知ることではないでしょうか。

今朝、お伝えしたいことは、イエスさまのもとへ来てくださいということです。どうぞ子供たちを教会へ連れてきてください。また、中学生、高校生の人たちも、教会へ来て、イエスさまのもとに来てほしいと思います。

初めにご紹介したユニセフの同じ調査によれば、日本の15歳の子供の実に30パーセント近くが、孤独を感じているとのことです。これは、他の国よりもはるかに高い数字でした。もちろん、これも一つの調査の数字で、これですべてをはかることはできませんけれども、ただ、実際に孤独を感じている子供たちがたくさんいるということは事実だろうと思います。そういう子供たちにも、教会に来て、イエスさまが一緒にいてくださるということを知ってほしいと思うのです。イエスさまは、神の国はこのような者たちのものであると言われました。子供が本当に世界一幸せな国は、イエスさまが一緒にいてくださる神さまの国です。教会に来て、この神さまの国の幸せを味わってほしいと思います。

そして、もちろん、大人の皆さんも、ぜひイエスさまのもとへ来てください。イエスさまは、子供のように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできないと、大人たちに向かっても話してくださいました。子供のような心で、イエスさまのもとへ来てください。子供も大人も、イエスさまのもとで、世界一の幸せを感じることができるはずです。

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