あなたに必要な住まい

みなさんは今、どこにお住まいですか。わたしは今、千里山教会の牧師ですから、吹田市の千里山という所に住んでいます。この町に住んで、この４月で５年になります。その前は埼玉県の新座市という所に約８年住んでいました。牧師になる前は神戸や岐阜県にも住んでいました。

皆さんの中には、生まれてからずっと同じ場所に住んでおられる方もいれば、わたしのように何回も転居された方もいると思います。しかし、どちらであっても、自分がどこに住むのかということは、決してどうでもいいことではありません。それは大切なことです。自分の仕事のこと、家族のこと、学校のこと、将来のビジョンや老後のこと等、わたしたちは色々なことをよく考えて、自分の住まいを決めるのだと思います。

以前ニュースを見ていたら、神奈川県の横須賀市では、将来の人口減少に備えて様々な対策を立てているということが放送されていました。横須賀市では過去のデータをもとに、人々がどこから転居してきたのかを綿密に調査したそうです。その結果、隣の横浜市の金沢区という場所からの転居が一番多かったそうです。それで、金沢区にあるすべての駅の掲示板に、横須賀市に住むことを勧めるポスターを掲示したというのです。市の担当者の方によると、将来を見すえて、共稼ぎで子供を育てている３０代、４０代の世帯をターゲットに、市のPRをしているとのことです。実際、このポスターを掲示してから、たくさんの方が興味を持ってくださり、市の方にもたくさんの問い合わせが来ているとおっしゃっていました。

こうした事実からも分かるように、わたしたち人間は誰もが自分の住む場所に強い関心を払います。どこに住んだから一番幸せになれるのか。どこに住んだら一番充実した時を過ごすことができるのか。わたしたちはそのことをよく考えて、自分の住まいを選ぶのではないでしょうか。

しかし、ここで考えたいことがあります。わたしたちはこの地上での住まいについて、これほど強い関心を示し、慎重に考えるのに、天の住まいについてはどうでしょうか。同じように日頃から関心を持って考えているでしょうか。

当たり前のことですが、誰もこの地上で永遠に生きることはできません。わたしも、あなたもいつかはこの地上を去らねばなりません。この地上での住まいは一時的な住まいです。仮の宿です。もちろん、だからと言ってどうでもいいということではありません。この地上での住まいが、人生が、仮の宿であっても、神様が与えてくださったのですから、わたしたちはそれを大切にし、真剣に生きることが必要です。しかし聖書は、「わたしたちの本国は天にある」（フィリピ3章20節）と語ります。わたしたちの魂の住まいは天にあると教えているのです。そうである以上、地上での住まいのために、わたしたちが払う関心と同じ関心を、いやそれ以上の関心を天の住まいのために払うことが大切ではないでしょうか。天の住まいは、わたしにとっても、あなたにとっても永遠の住まいです。

ただ、このように言いますと、「そんなこと言われても、天の住まいは見ることできないじゃないか」。そのようにおっしゃる方もいると思います。この地上の住まいならば、そこに住む前に自分の目で見て、確かめることができます。本当にそこが良い場所なのか、実際、そこに行って確かめることができます。しかし、残念ですが、天の住まいはそういうわけにはまいりません。天の住まいを事前に確かめること、事前に目で見ることはできません。それならば、わたしたちは天の住まいのことを考えも無駄なのか。関心を持っても無駄なのか。そうではありません。

本日の聖書の箇所にあるように、イエス・キリストが、わたしたちの天の住まいについて保証してくださっているのです。キリストは、わたしの父の家には住む場所がたくさんある、とおっしゃいました。そして、わたしたちのために住まいを用意していてくださる、と約束しておられます。キリストはわたしたち一人一人のためにもっとも相応しい天の住まいを用意してくださっているのです。

わたしたちは天の住まいを自分の目で見ることはできません。でも、わたしたちは、人間の救いのためにこの世界に来てくださり、わたしたちを愛してくださっている、イエス・キリストを信じることができます。わたしたちのために十字架にかかってくださり、復活してくださったイエス・キリストを信じることができます。このキリストを信じること、このキリストの約束を信じることが天の住まいに備えることになるのです。

イエス・キリストは、ご自分を信じる者に素晴らしい天の住まいを用意しておられます。どうかあなたもイエス・キリストの約束を信じ、受け入れてください。