絵が苦手なあなたへ その①

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聖書の言葉

あなたは、わたしの内臓を造り

母の胎内にわたしを組み立ててくださった。

わたしはあなたに感謝をささげる。

わたしは恐ろしい力によって

驚くべきものに造り上げられている。

御業がどんなに驚くべきものか

わたしの魂はよく知っている。

旧約聖書 詩編 139編13~14節

吉田実によるメッセージ

私はこれまでなんども「絵画と信仰」というテーマでお話をさせていただきましたけれども、今回は「絵を描く」ということについて、お話をさせていただきたいと願っています。

ラジオをお聴きの皆様は、絵を描くということを今でもなさいますでしょうか。「絵は大好きです。私は油絵を習っています。水彩画を描きます。」という方もいらっしゃると思います。けれども、「学校の美術の授業で描いて以来、絵なんて描いていない、絵は苦手だ」という方も少なくないのではないかと思います。

私どもの神戸長田教会では、毎月第1題3金曜日の午前中に、ハレルヤシルバーという絵手紙サークルを開いていまして、地域の皆様方と一緒に毎回楽しく絵手紙を描いています。絵手紙とは、和紙のハガキに墨で輪郭を描きまして、顔彩という水彩絵の具で色を付け、言葉を一言添えるという、絵と言葉のコラボレーション作品なのです。言葉だけでも絵だけでも表現することができない、独特の世界を生み出すことができます。普通の手紙ではなかなか照れくさくて書けないような言葉でも、不思議と絵手紙の絵に添えますと、さらっと書くことができたりいたします。絵手紙にはそういう不思議な魅力があります。

そんな絵手紙を描く私達のサークルでは、毎回はじめにみんなで声を合わせて私たちの合言葉を読みます。それは「へたでいい、へたがいい、みんなちがって、みんないい!」という言葉です。金子みすずさんの詩の言葉を少しアレンジさせていただいたものです。そして私はよく言います。「みなさん、もうさんざん長年にわたって人と比べあったり競争したりしてこられたでしょう。ここに来たらもうそういうことはやめませんか?隣の人と自分の絵を比べて、勝ったとか負けたとか、そんなことを思うのはもうやめにしませんか?世界でただ一人のあなたが、あなたらしい絵を描いたら、それがいい絵なんです。自分らしい絵を描く喜びを、是非一緒に味わいましょう。」そんなふうに、おりあるごとにお話をさせていただいています。

そもそも絵を描くのが嫌いとか、苦手だと思っていらっしゃる方は、いつからそんなふうに思うようになったのでしょう。きっと幼い子供の頃は、上手い下手なんか関係なく、隣の子が何を描いているかなんて関係なく、広告の裏などにのびのびとなぐり描きをしていたのだと思います。それは、決して他の動物には真似のできない、人間独自の創造的な行為なのです。それが、幼稚園に行き始め、小学校に上がり、中学生になる頃には、かなりの生徒たちが「自分は絵が苦手だ。」と思い込んでしまっているのです。

それはもしかすると、図工や美術の時間であまり良い成績をもらえなかったからかもしれません。また展覧会で一度も入選したことがなかったからかもしれません。誰かに自分の作品を笑われたからかもしれません。そしてそういうことに関しまして、私は少なからず責任があると思っています。中学校の美術の教師として11年間務めていたからです。中学校で美術の教師をしていた頃、一番嫌だったことは、成績をつけなければならないことでした。当時は相対評価でしたので、5段階でそれぞれパーセンテージが決まっていまして、生徒の作品や試験の点数を合計して、輪切りにするのです。そして5,4,3,2,1を付けるのです。これが本当に嫌でした。

私は世の中に美術の成績が1の人なんて存在しないと思います。でも、誰かに1をつけなければならないのです。それで私は、学校に来ていない不登校の生徒達に、1をつけました。「作品がないのだから仕方がない」と思っていました。でも、数年前にMigiwaさんという、不登校の経験があるゴスペルシンガーの方にコンサートに来ていただいたとき、彼女はおっしゃいました。「私は不登校で部屋にこもっていたときに、曲を作ったリ、絵を描いたりして過ごしていました。」この彼女の一言が私の心に刺さったのです。「僕が1をつけたあの子達も、もしかすると家で絵を描いていたかもしれない。」そう思うと、なんだかとっても申し訳ない気持ちで一杯になりました。せめて、一言メモを添えればよかった。「この数字は君への評価じゃない。また作品を見せてね。」と。

今絵手紙教室でみなさんといっしょに「へたでいい、へたがいい」と毎回声を合わせながら絵手紙を指導しておりますのも、わたくしなりの、せめてもの罪滅ぼしであるのかもしれません。「歪んでいても、滲んでいても、あなたが一生懸命描いた絵は素敵だ!なぜなら、あなたが生きてここにいること自体が素敵なことだから。」私たちに命を与えてくださった神様は、そんなふうにきっとおっしゃって下さるに違いないと、私は思うのです。みなさんも、いつの間にか刷り込まれてしまった苦手意識をゴミ箱にポイとすてて、絵筆を握ってみませんか?

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