3,500年の時空を越えて

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聖書の言葉

アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図。

新約聖書 マタイによる福音書 1章1節

西田三郎によるメッセージ

教会では、クリスマスの4つ前の日曜日から、クリスマスを準備する期間に入ります。教会では、この期間を「待降節」と呼んでいます。今朝はクリスマスの3つ前の日曜日の朝で、「待降節第二主日」です。今朝は、キリストの誕生に心をとめながら、神様がイエス・キリストの系図によって私たちに語っているメッセージを、ご一緒に聞きたい思います。

マタイによる福音書1章1節には「アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図」とあります。これは2節から17節までのイエス・キリストの系図の表題です。ここの「アブラハムの子」の「子」という言葉は「子孫」という意味で使われていますので、1節は「アブラハムの子孫であり、ダビデの子孫であるイエス・キリストの系図」と言い換えることが出来ます。

この系図には、繰り返しなどを無視して単純に数えますと、92個の名前が並んでいます。名前の数を間違えずに数えるだけでもたいへんです。新約聖書をはじめて読まれた方は、このだらだらと続く名前の列挙にまず驚くと思います。ある方はこの名前につまづいて聖書を読むのをやめてしまうということもあるかもしれません。実際に、そのような経験をした方のお話を何回か聞いたこともあります。普通は、はじめに読者の気持ちをつかむようなことを書くのではないと思いますが、マタイはあえてこのような無味乾燥な名前の列挙から福音書を書き始めました。それにはふたつの理由がありました。まず第一には、この福音書の読者がユダヤ人であったということです。マタイはギリシャ語ができるユダヤ人たちのためにこの福音書を書きました。ユダヤ人たちとって系図は非常に大切なもので、どの家庭にも系図があり、大切に保存していました。ユダヤ人にとって系図は自分たちが確かにユダヤ人であることを証明するものだったからです。ですから、福音書の最初の読者たちは、系図には違和感がなかったのです。これが現在の私たちが系図を理解できない理由のひとつです。マタイはこの系図によって、自分がこれから物語るイエス・キリストが、確かな系図をもつ、歴史上の実在人物であると語っています。イエス・キリストは作り話でも、想像上の人物でもありません。系図で証明される確かな家系をもつ実在の人物です。マタイはこの系図によって、読者がキリストの物語を歴史の事実として読むように促しています。私たちも聖書が語るキリストの物語を、確かな歴史の事実として受け取らねばなりません。

マタイが系図をここにおいた第二の理由は、イエス・キリストの系図そのものが語るメッセージをそのまま語りたかったからです。それは「アブラハム」「ダビデ」という名前にかかわるメッセージです。これらの名前にメッセージがありますので、それぞれを紹介します。

まず「アブラハム」という人ですが、アブラハムは紀元前千五百年頃の人で、ユダヤ民族の先祖です。今の私たちから言えば、三千五百年ほど前の人です。旧約聖書によれば、神様はこの人に約束を与えて、アブラハムの子孫によって全世界の人々が救いの祝福を受けると保証されました。このアブラハムの子孫とはイエス・キリストのことです。ユダヤ人たちは神様のこの約束がありますから、自分たちの系図を大切に記録保存するようになりました。自分たちの子孫から世界の人々に救いの祝福を与える者がでると約束されたからです。それぞれの家で系図は大切にされました。系図ははじめは口伝えで保存され、のちには文書の形で記録保存されました。イエス・キリストの系図も旧約聖書のあちこちに記録されています。マタイはこの旧約聖書の記録を用いてこの系図を書き上げました。その系図の最初がアブラハムです。神様の約束はアブラハムに与えられました。そして神様はその約束をアブラハムの子孫であるダビデに与えられて、約束の内容をより明確にされました。

この「ダビデ」は紀元前千年頃に、エルサレムでユダ・イスラエルの統一王国を建設した人です。アブラハムから五百年ほどのちの子孫です。ダビデ王が即位して、ユダヤ民族がはじめて本格的な王国となりました。ダビデ王朝が確立した時、神様はダビデに、ダビデ王朝の王座につく子孫の中から神の子を出すと約束をされました。そして、その神の子によって、ダビデの王座は永遠に確立されると保証されました。言い換えれば、ダビデの子孫から神の子である救い主が与えられ、神の国が確立すると約束されたのです。神の子である救い主は「ダビデの子」です。それは私たちの救い主イエス・キリストです。

イエス・キリストはアブラハムの子孫であり、ダビデの子孫である、神が約束された神の子・救い主です。神様は三千五百年の時空を越えて、この約束によって今私たちを救ってくださます。ここにイエス・キリストによる救いの確かさがあります

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