平和が川のように流れ出す

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聖書の言葉

あなたの贖い主、イスラエルの聖なる方 主はこう言われる。 私は主、あなたの神。私はあなたの益となることを教え あなたの歩むべき道にあなたを導く。 私の戒めに耳を傾けさえすれば あなたの平和は川のようになり あなたの正義は海の波のようになるであろうに。

旧約聖書 イザヤ書 48章17節-18節

大西良嗣によるメッセージ

聖書に出てくるイスラエルは、小さな民族の小さな国です。アッシリア帝国やバビロニア帝国といった軍事大国に翻弄され、ついには滅ぼされました。その際には、都が包囲され、多くの人が飢えに苦しみ、城壁が破られるとたくさんの人が殺されました。また、捕虜として連れ去られた人たちも大勢いました。

現代のイスラエル国は、中東地域の中でも軍事大国になりました。ガザ地区に対して圧倒的な軍事力で攻撃を続けることができるほどです。このため、聖書の時代のイスラエルの様子とはかけ離れています。ですから、聖書に出てくるイスラエルの立場を現代のイスラエル国に当てはめることは不可能です。古代のイスラエルは、軍事的には弱小国で、常に軍事大国に翻弄されていました。

ただし、聖書は、イスラエルが滅ぼされる理由を、「軍事力が弱いからだ」とは言いません。軍事大国に対抗するために「軍事力を増強するように」と主が命じたことは一度もありませんでした。そうではなく、「主が与えられた戒めに従って歩まないので、このままでは滅ぼされる」と何度も警告されていました。主の戒めとは、簡潔にまとめるなら、「神である主を愛し、隣人を愛する」ということです。具体的には、イスラエルの神である主以外の神々を拝んではならないこと、また不正を行なったり、貧しい人々を搾取したりしてはならないことなどが挙げられます。主から遣わされた預言者によって、主の戒めに従うようにくり返し警告されましたが、イスラエルの人々は聞く耳を持ちませんでした。そのため、滅ぼされることになりました。

最初に読みました聖書の言葉は、バビロニア帝国によって捕虜として連れ去られた人たちや、各地に避難した人たちに向けて語られた言葉だと考えられます。各地に散らされた人々は、他の宗教を信じる人たちの間で生活せざるを得ませんでした。唯一のまことの神である主から「見放された」と感じていた人たちも多かったことでしょう。けれども、先ほど読んだ聖書の言葉には、「私は主、あなたの神」と、主はご自身のことを語っておられました。つまり「私は今もあなたの神だ」と言ってくださるのです。「お前たちなんか知らない」と言って見放されるのではなく、「私はあなたの神だ」と名乗って、「あなたとの関係は終わっていない」と言ってくださるのです。

そして、「私はあなたの益となることを教えあなたの歩むべき道にあなたを導く」と言われます。主はイスラエルのために、これまでも教え、導いて来られました。すなわち戒めを教えて、歩むべき道を示してくださっていたのです。それは、彼らを縛るものではなく、むしろ「彼らの益となること」だったのです。戒めに従って生きることが、実は幸いな道であり、彼ら自身の益となることだったのです。

そして、こう言われていました。「私の戒めに耳を傾けさえすればあなたの平和は川のようになりあなたの正義は海の波のようになるであろうに。」戦争の捕虜になっていたり、各地に避難民として生活したりしている状態は、平和が実現しているとは言えません。また弱小国の人々が一方的に支配下に置かれていては、正義が実現しているとも言えません。けれども、主の戒めに耳を傾けさえすれば、平和が実現して、川のように流れだすと言われます。正義が実現して、海の波のように押し寄せると言われます。そんな素晴らしいことが実現すると約束されるのです。

「神を愛し、人を愛する」ことは、イエス・キリストが、主の戒めの要点として教えたことです。聖書は、神が人をご自身の形に似せて造られたと教えます。ですから、神を愛するならば、神に似せて造られた人間をも愛するということになるはずです。すべての人が神の形に造られているのですから、敵と看做される人も愛すべき対象です。そのように、主の戒めに耳を傾けることが、平和が実現する道筋になることでしょう。私たち個人が、国家間の戦争をすぐに終わらせるようなことはできそうにありませんが、人を愛することで、私たちの周りに平和が川のように流れだす可能性はあります。

自分を愛してくれる人を愛することは、簡単です。けれども、平和を実現するために必要なことは、神の形に造られたすべての人を愛するということです。それは、簡単ではありません。けれども、主の戒めに従って、愛しにくい人を愛するときにこそ、私たちの平和が川のように流れ出します。そうしてこそ私たちは大きな益、この上ない幸いを味わうに違いありません。

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