新しい歌を歌え

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聖書の言葉

新しい歌を主に向かって歌え。

全地よ、主に向かって歌え。

主に向かって歌い、御名をたたえよ。

日から日へ、御救いの良い知らせを告げよ。

国々に主の栄光を語り伝えよ

諸国の民にその驚くべき御業を。

旧約聖書 詩編 96編1~3節

吉田実によるメッセージ

先週も音楽のお話をいたしましたけれども、どなたにも、心に刻まれた懐かしい曲や思い出の歌というものがあるのではないかと思います。ラジオをお聞きの皆様はいかがでしょうか。

私が子供の頃、親がよくテレビの「なつかしのメロディ」みたいな歌番組を見ながら「いやぁ~笠木シズ子やわ、淡谷のり子やわ、懐かしいわぁ」などといいながら、涙を流さんばかりに曲に聞き入っている姿を見まして、「僕はあんな大人にはならない」と密かに思っていたのですけれども、最近はどうも自信がなくなってまいりました。先日もテレビのコマーシャルでビートルズの曲が突然かかりまして、思わず「いやぁ~懐かしいなぁ、これはジョン・レノンの名曲でなぁ・・・」と、そばにいた娘に向かって思わず熱く語ったのですけれども、娘は「へぇ。」と言うだけでした。自分も親と同じようなことを繰り返しているなぁと思わされた次第です。

歌には不思議な力がありまして、その歌を歌ったり聞いたりしていたときの思い出が、タイムカプセルのようにその曲の中に閉じ込められていて、そしてその曲を聴くとその当時の思い出が生き生きと蘇るということがあります。それはとても素敵なことだと思います。

けれども、今日の聖書の箇所が語っておりますことは、そういう懐かしい歌、つまり古い歌ではなくて、「新しい歌を歌え」ということなのです。これはどういうことでしょうか。

もちろんそれは最新のヒット曲を歌えということではありません。最新のヒット曲も、その時々の思い出と共にやがては懐かしい、古い歌になってゆきます。ここで言われている新しさはそういうその時だけの時間的な新しさではなくて、決して古くならない、常に新しいという質的な新しさなのです。

では、そういう決して古くならない、常に新しい歌とはどういう歌なのでしょうか。2節から3節にかけてこう書かれています。「主に向かって歌い、御名をたたえよ。日から日へ、御救いの良い知らせを告げよ。国々に栄光を語り伝えよ。諸国の民にその驚くべき御業を。」

つまり、ここで「歌え!」と言われております新しい歌とは、神様の驚くべき救いの御業に感激して思わずあふれ出る喜びの歌、讃美の歌のことなのです。そういう讃美の歌が常に新しいということは、神様の驚くべき救いの御業が、日々新たになされているということです。神様は生きておられる神であり、今も活動しておられるお方です。その神様がなされる新しい救いの御業を日々見つめる人の口からは、日々新しい讃美の歌があふれ出る、ということなのです。

私たちの毎日の生活は、基本的にはそんなに大きく変わらない、同じようなことの繰り返しなのかもしれません。この一年の歩みも、心新たに新年を迎えましても、やがてまた当たり前の日常が始まりまして、基本的には同じようなことを繰り返してゆくのだと思います。「驚くべき救いの御業」というようなことが毎日起こっているわけではない。それが私たちの正直な印象ではないでしょうか。

でも、私たちは決してくるくると同じところを回っているのではありません。この世界にも、この私の人生にも、初めがあり、終わりがあります。そしてその間の、今日は今日しかない、特別な時を私たちは生きている。いえ、生かされているのです。この世界を造られ、そして愛によって完成なさろうと日々導いていらっしゃる神様が、今日も私達一人一人に命を与えてくださり、生かしてくださっているのです。そしてそうであるならば、そんな私の今日という日にも、神様は特別な良いご計画を持っていてくださるはずです。私たちはこのことを信じたいと思うのです。

優れない体調や、色んな悩み事や、解決することが難しい様々な問題を抱えながら今日という日をお迎えになった方々は決して少なくないと思います。「そんな今日という日に、神様の素晴らしいご計画があるなんて思えない。そんなことは信じられない。」と思われる方も少なくないのかもしれません。

けれども、私たちは信じたいと思います。ご自身の独り子の命さえも惜しまず私たちのために与えてくださった神様が支配しておられる、そんな今日という日に、このお方によって命を与えられて生かされている私であるなら、そんな私の今日という日にも、必ず神様の良いご計画がある。そう信じて、心をこめて、今日なすべきことを行い、語るべきことを語りたいと思うのです。

そうするときに、そんな私たちの小さな行い、小さな一言の言葉を通して、決して小さくない神様の良いご計画が、そこから動き始めるのです。そしてこのことの気付くときに、そんな今日という日に私たちが歌う歌は、昔から歌っている古い讃美歌であっても、懐かしい思い出と共に、今日と言う日の感謝と喜びが詰まった、新しい歌となるのです。

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