インマヌエル

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聖書の言葉

このすべてのことが起こったのは、主が預言者を通して言われていたことが実現する

ためであった。「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」この名は、「神は我々と共におられる」という意味である。

新約聖書 マタイによる福音書 1章22~23節

赤石めぐみによるメッセージ

皆さん、クリスマスおめでとうございます。

今日は、世界中の教会で、クリスマスをお祝いする礼拝が行われる日です。「え?25日じゃないの?今日はまだ19日なのに・・・」と思われるかもしれません。教会では、12月25日の直前の日曜日に、クリスマス礼拝をします。来週はもう26日ですから、「25日の直前」というと、今日、19日になるわけです。教会は毎週日曜日に礼拝を行っていますが、今日の礼拝は特別です。ぜひ、お出かけください。

クリスマスは、「イエス・キリストの誕生をお祝いする日」として知られています。誰の誕生日についてもそうですが、その人の「誕生を祝う」ということは、その人の存在を自分が喜んでいる、ということを表すことだと思うのです。その思いがあってこそ、はじめて、その人の誕生を祝ったと言えると思うのですが、まるでイエスさまなどいないかのようなクリスマスの過ごし方をしてはいませんか?

イエスさまがいてくださることを喜ぶ。今日は、そのことを心に留めることができるように、お話したいと思っています。

「イエスさまって、会ったこともないし、目に見えないから、『いてくださることを喜ぶ』と言ったって、実感がない」と思われるかもしれません。「だいたい、2000年以上も前の人であるイエスさまが、『いてくださる』ってどういうことなの?」と思われるでしょう。

このことが分かるようになるためのカギが、今日、最初にお読みした聖書の言葉の中に出てくる「インマヌエル」という名前です。聖書に書いてあるとおり、「インマヌエル」とは「神は我々と共におられる」という意味です。

イエスさまの地上の生涯の様子が書いてあるのは、新約聖書のほうですが、その前に、イエスさまのことなんかちっとも出てこないように見える、分厚い旧約聖書というのがあります。天地創造から始まって、古い、古い時代の人々の物語が書き連ねられています。実は、その中に、神さまがその人たちに「わたしはあなたと共にいる」と語りかける場面がたくさん出てくるのです。

例えば、アブラハムの孫で、ヤコブという人がいます。ヤコブは双子の兄エサウに憎まれて、殺されそうになり、伯父さんのところに逃亡することになるのですが、たった一人での旅の途中、神さまがこのヤコブに、こう語りかけられたのでした。

「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで、決して見捨てない。」(創世記28:15)

このヤコブからイスラエル12部族が生まれたのでした。

イスラエルの民はエジプトで奴隷として働かされていました。このイスラエルの民のエジプト脱出を導いた偉大なリーダー、モーセにも、神さまは語られました。

「わたしは必ずあなたと共にいる。このことこそ、わたしがあなたを遣わすしるしである」(出エジ3:12)。

モーセのあとをついで、イスラエルの導き手となったヨシュアという人がいます。偉大な人の後を務めるのは、プレッシャーを感じるものです。このヨシュアにも神さまは語られます。

「わたしはモーセと共にいたように、あなたと共にいる。あなたを見放すことも、見捨てることもない。強く、雄々しくあれ。・・・わたしの僕モーセが命じた律法をすべて忠実に守り、右にも左にもそれてはならない。そうすれば、あなたはどこに行っても成功する。」(ヨシュア1:5~7)

まだまだこのあと、ギデオンという人にも、サムエルという人にも、ダビデやソロモンといったイスラエルの王様たちにも、神さまはいつでも、「わたしはあなたと共にいる」と励ましてこられたのですね。

けれでも、人間の罪のほうが深くて、そうやって神さまが守ってこられたイスラエルの国は滅亡してしまいます。それでもなお、イザヤとかエレミヤといった預言者たちに、「わたしがあなたと共にいて必ず救い出す」と、神さまは語り続けられたのでした。旧約聖書は「インマヌエル」の歴史、神さまが「わたしはあなたと共にいる」と語り続けられた歴史をずうっと記していると言ってもよいくらいです。

神さまは、あんなに力強く、「わたしはあなたと共にいる」と語りかけ続けてこられた。あんなふうに励まされたら、どんなに心強いか、と思うような言葉でしたね。

でも、人間の方が、神さまを裏切り続けてきてしまった。もう神さまから見捨てられてしまったのかなと思うような状況に置かれて、人々は思いました。「『わたしはあなたと共にいる』と言ってくださった神さまはどこに行ってしまわれたのですか?」

そう嘆く声にこたえて、神さまは、イエスさまを遣わしてくださったのです。イエスさまは私たちと同じ人間の姿になって来てくださったので、「神さまが私たちと共にいる」ということを、私たちはもっとよく実感できるようになりました。そしてまた、「わたしはあなたと共にいる」とおっしゃった神さまに、ついてまわらせるような仕方でしか生きられなかった人間とは違って、イエスさまは、ご自分ほうからも、神さまと共にいる、神さまに従いとおす、という生き方を教えてくださったのです。「神さまが私たちと共にいてくださる」ということの本当のあり方、本当の生き方を教えてくださいました。

だから、イエスさまは「インマヌエル」と呼ばれるのです。

「わたしはあなたと共にいる」と言ってくださっている神さまに対して、「いてもいいけど、邪魔しないでね」というような態度ではなくて、「わたしはあなたと共にいる」と励ましてくださる神さまの声が、あなたにも聞こえるような、そして、イエスさまが本当に自分と共にいてくださることが実感できるような、そういう本当に嬉しいクリスマスを、今年はぜひ、過ごしていただきたいな、と思います。

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